処理が重いゲームも長くプレイ可能に

クアルコム、「Snapdragon 8 Elite」発表。パフォーマンス45%、電力効率44%向上

Image:Qualcomm

クアルコムは米現地時間の21日、スマートフォン向けの最新ハイエンドチップ「Snapdragon 8 Elite」を正式発表した。

これまで「Snapdragon 8 Gen 4」の仮名で噂されてきたもので、モバイル向けチップの命名規則が「8 Gen [x]」から変更された。ノートPC向けは「Snapdragon X」、モバイルは「Snapdragon 8」としてブランドを統一する模様である。

その最大の特徴は、新たなCPUコア「Oryon」を搭載していることだ。ノートPC用のSnapdragon Xに搭載された初代Oryon CPUに対して、第2世代という位置づけだ。

CPUとしては2つのプライムコア(4.32GHz)と6つの高性能コア(3.53GHz) コアがあり、どちらもモバイル用途にカスタム設計されているという。各クラスタには12MBのL2キャッシュが備わり、合計24MBで「非常に高速なデータ取得」が可能になるとのこと。

これまでのSnapdragonチップにあった高効率(省電力)コアはないが、パフォーマンスは前Snapdragon 8 Gen 3より45%、電力効率は44%向上したという。プライムコアと高性能コアの省電力性を高めているため、高効率コアは不要との判断のようだ。

Image:Qualcomm

Aderno GPUにも新たなスライスアーキテクチャを採用し、レイトレーシングの性能が35%向上、40%高速化したとのこと。電力効率も40%改善され、システム全体では省電力が27%向上し、2.5時間長くゲームが出来ると宣伝している。

さらにAI関連としては、Hexagon NPUが45%高速化し、ワット当たりのパフォーマンスは45%向上。マルチモーダル視覚、聴覚、テキストなどを組み合わせた処理)な生成AIのオンデバイス動作も提供しているとのことだ。

NPUは、「AI ISP」(画像信号プロセッサ)と深く統合され、30 fpsでのビデオオブジェクト消去機能(いわゆる消しゴムツール)なども備えているという。C2PA規格(デジタルコンテンツの出所や来歴を証明するための技術標準)を認証するTruepicも、動画と音声の両方に対応しているという。

クアルコムのモバイル端末担当上級副社長であるクリス・パトリック氏は、本チップをスマホに搭載する意義につき「デスクトップ機器のようなパフォーマンスが得られる」と述べている。モバイル向けに最適化されていないウェブサイトも「非常に高速で軽快に動作し」、重いゲームもよりスムーズに動作するとの説明である。

Snapdragon 8 Eliteは、ASUS、Honor、iQOO、OnePlus、OPPO、RealMe、Samsung、Vivo、Xiaomiなどのデバイスに採用され、最初の製品は「今後数週間以内に」登場するという。明示的にSamsungに言及することは、これまでなかったことだ。

ハイエンドスマホが高性能かつ省電力になることは確実だが、一方で本チップはSnapdragon 8 Gen 3から25~30%もの値上げが予想されている。それがスマホの価格にどう反映されるのか、興味深いところだ。

関連キーワード: