狙っていたことは間違いないけれど……

映画『ブレードランナー 2049』制作会社、テスラとワーナーを提訴。作品を無許諾でAI生成に使用したと主張

Image:Tesla

映画『ブレードランナー 2049』で知られる米国の映画制作会社Alcon Entertainment(アルコン・エンターテインメント)が、数週間前にロボタクシー発表イベントを開催したテスラとその会場を提供したワーナー・ブラザース・ディスカバリーを提訴した。

テスラのロボタクシー(サイバーキャブ)発表イベント「We, Robot」では、その冒頭でイーロン・マスクCEOが、未来はどのようになっているだろうか?という前フリをした上で、「こうじゃない」と、『ブレードランナー 2049』のワンシーンに非常に似た画像(登場人物がマスク氏になっている)をゲストや配信の視聴者に示していた。

Image:Warner Bros. Pictures(YouTube)

ジョークとしては盛大に滑っていたように感じられるが、この画像はライアン・ゴズリング演じる主人公が廃墟と化したラスベガスを眺望する『ブレードランナー 2049』の象徴的なシーンからのものだと「明らかに視覚的に読み取れるよう意図された」とアルコンは主張している。なお、マスク氏は、イベントの際に「私は『ブレードランナー』が大好きだが、あのような殺伐とした終末的未来は望んでいない」と述べている。

訴訟では、テスラのCEOであるイーロン・マスク氏が、ロボットタクシーの宣伝をするために『ブレードランナー』をロボタクシーに関連付けたいと考え、イベント当日にテスラの従業員がアルコンに対して画像の許可を求めてきたとしている。アルコンはこれを拒否したが、その結果としてテスラは画像生成AIに映画のイメージを読み込ませ、無許諾の販促資料を作成したのだと主張している。

アルコンは『ブレードランナー』のブランドを悪用したとテスラらを非難し、今後のTVシリーズに向けたパートナー候補との継続的な取り組みに絡み、「極端な政治的・社会的見解」を持つマスク氏を『ブレードランナー 2049』のイメージに結びつけたくないとした。

また、ワーナーがテスラに発表イベント会場として同社の撮影所を貸し出した契約には、テスラが自社製品を『ブレードランナー 2049』の米国における配給会社だったワーナー・ブラザース・ディスカバリーの映画とロボットタクシーを関連付けることを許可するプロモーション要素が含まれていたと主張、画像の生成もワーナーが後押ししたとし、「テスラとの提携を検討するブランドは、マスク氏の、時にヘイトスピーチにまで発展する、大々的に増幅され、非常に政治化され、気まぐれで恣意的な行動を慎重に考慮しなければならない」と述べている。なお訴状によると、ワーナー側は配給会社として作品の限定的なクリップに対するライセンス権を持つとされている。

アルコンはこの訴訟において、テスラが損害賠償を支払い、問題の販促資料をこれ以上配布することを禁じる命令を裁判所が下すよう求めている。

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