AIよりも「iPhone 17 Air」が売上の起爆剤に?

Apple Intelligence、本領発揮までに2~3年かかるとのアナリスト予測

Image:Camilo Concha/Shutterstock.com

アップルが独自AI「Apple Intelligence」を一気にリリースせず、小刻みに展開する方針は周知の事実だ。Bloombergは10月28日にiOS 18.1がリリースされ、最初の6つの機能が利用可能になると報じていた。音声アシスタントSiriの新バージョンは、iOS 18.4とともに来年3月に登場する見通しだ(以上は米国のみ)。

しかし、iPhoneが「本格的な」AI機能を発揮できるのは2026年~2027年になるとの予想をアナリストらが述べている。

旧機種ではiPhone 15 Pro以外はApple Intelligenceが動かないため、新機能を使いたいユーザーらが大規模に買い替える動き(いわゆるスーパーサイクル)が起こると主張する声もあった。

だが、これまでの状況を見るかぎり、今年のiPhone販売台数は昨年とほぼ同水準であり、まだ人々はAIに大きな魅力を見いだしていないと推測できる。

米投資銀行ジェフリーズのアナリストEdison Lee氏は、この現状を当然だと捉えている。iPhoneの販売台数が5〜10%増加するという市場の期待は「達成される可能性は低い」とのことだ。

長期的には、Apple Intelligenceは他社よりも優位にあるという。なぜなら、アップルはハードウェアとソフトウェアを統合したことで「独自のデータを活用して低コストでパーソナライズされたAIサービスを提供できる」唯一の企業とみられるからだ。

一方、Apple Intelligenceが新型iPhone需要を押し上げるには、あと2~3年は必要だと指摘している。「本格的なAIを実現できるまでスマートフォンのハードウェアを改良するには、2026/2027年までかかる」との分析である。

それでも、アップルはAndroidベースの競合他社よりも技術開発とコストの面で、長期的な優位性があるという。主な理由は、半導体製造大手のTSMCと緊密なパートナーシップがあることだ。

2025年の「iPhone 17」シリーズは、最終的には強力に売上を成長させるとLee氏は予測している。ただし、その牽引力はApple Intelligenceというよりも、噂の薄型モデル「iPhone 17 Air」にあるとのことだ。

本格的なAI対応スマートフォンの実現が2~3年先になるのは「高速メモリと先進的なパッケージング技術の限界」のためだという。おそらく完全なオンデバイス(クラウドに依存しない端末内での処理)に近づけるには、プロセッサーの処理もRAMのアクセス速度も不足しているということだろう。

現行のApple Intelligenceはオンデバイスでは処理しきれないタスクは「プライベートクラウドコンピューティング」、つまり外部サーバーに負担させる設計だ。それではプライバシーやセキュリティは確保できたとしても、通信による遅延の影響は避けられない。

ユーザーがAIの恩恵を体感でき、旧モデルから買い替える価値を見いだせるまでには、しばらく時間がかかりそうだ。

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