共同開発した専用剤「極ラク汚れはがし」

パナソニック、「マイクロミスト」機能搭載スティック掃除機/花王と共同開発の洗濯モード導入ドラム洗濯機

編集部:伴 修二郎

パナソニックは、 “マイクロミスト” 機能を搭載したセパレート型コードレススティック掃除機「MC-NX810KM」や、花王と共同開発した洗濯コースを搭載するななめドラム洗濯乾燥機「NA-LX129DL/R」を、10月上旬より順次発売する。

価格はいずれもオープンだが、MC-NX810KMが税込90,000円前後、NA-LX129DL/Rが税込400,000円前後での実売が予想される。本稿では、本日9月26日に開催された体験発表会の内容も合わせて紹介する。

業界初となる“マイクロミスト”機能搭載パワーノズルを採用した「MC-NX810KM」

「MC-NX810KM」は、同社が2021年より展開する、クリーンドック(自動ゴミ収集機能)を搭載したセパレート型コードレススティック掃除機の最新モデル。ダストボックスを本体から切り離して充電スタンドと一体化させることで、ゴミ捨ての手間を省いてメンテナンスも簡単に行えるのが特徴で、シリーズ累計販売台数は22万台を突破している。

「MC-NX810KM」

セパレート型モデルの好評な点として、スティック本体をドッグに戻せば吸い取ったゴミを自動で収集し、充電も自動で開始するお手軽さや、紙パックによって片手で簡単に取り出して手を汚さない清潔さ、紙パックに溜めたゴミはドック内で自動で除菌、脱臭を行うことで菌の繁殖やニオイを防ぐ点が挙げられた。

Image:Panasonic

最新モデルMC-NX810KMの大きな特徴として、セパレート型の手軽さはそのままに、パワーノズルにマイクロミストを噴霧する新機能を搭載。マイクロミストとは、水の極微細なミストのことを指し、一般的な霧よりも粒子が細かい約10μmのマイクロミストを超音波振動により生成する。床はフローリングやカーペット、畳などオールフロアで使用可能だという。

あらかじめ注入した水を、ノズルから床面に向かって噴霧する約10μmのミスト粒子を目に見えないゴミに付着させることで、フローリングなどの床の窪みに潜んでいた細かなゴミを浮き上がらせることが可能だという。

マイクロミストを噴霧しているようす

現状フローリングには、幅100μm以下、深さ20μ程度のわずかな窪みが多数あり、そこに目に見えないハウスダストが入り込んでしまうと同社は指摘。また、現在フローリングにおいては約半数の方が素足で過ごしているということ現状から、掃除機がけ後でも「ざらついて」しまうという実態例を強調する。

このような従来の掃除機では取り切れなかった細かなゴミを、ブラシに付着したミストと目に見えないハウスダストの表面に付着したミストとが引き寄せ合う「液架橋力」によってゴミを床から浮き上がらせて、しっかりキャッチして吸い込むことが可能だとのこと。これにより、一度の掃除機がけで床の表面の掃除だけでなく、仕上げ拭きまでが行えるとアピールしている。

Image:Panasonic
Image:Panasonic

さらにマイクロミスト機能に加えて、同シリーズの特徴である小型・軽量ながら高い回転数のモニターによりハイパワー吸引を実現する「ハイパワーモニター」、高速赤外線センサーが約20μmの微細なハウスダストまで検知する「クリーンセンサー」によって、同社は「ざらつかない、いつもと違う心地いい床」を実現すると謳っている。

また、ノズル部にはブラシの密度をアップさせ、新たなリブ構成を採用した「からまないブラシPlus」と、家具下など暗い所の見えにくいゴミが浮かび上がって見えやすく、ゴミの取り残しを防ぐ「LEDライト」を搭載している。さらにクリーンドッグ部分には、再生プラスチック材を約60%使用するなど、環境にも配慮している。

Image:Panasonic

洗剤メーカー・花王と共同開発の洗濯コースを搭載したドラム洗濯乾燥機「NA-LX129DL/R」

NA-LX129DL/Rは、洗剤メーカー・花王(株)と共同で開発した専用剤「極ラク汚れはがし」(別売)を使用し、従来は予洗いが必要だった皮脂汚れなどをラクに落とせる「汚れはがしコース」を搭載した、ヒートポンプ内蔵ドラム式洗濯乾燥機。

「NA-LX129DL/R」

同社のヒートポンプ搭載ドラム式洗濯機は、高い省エネ性能や洗濯~乾燥までにかかる時間が短い点などが好評だと説明。さらに「洗剤」「柔軟剤」に加えて、「おしゃれ着洗剤」または「酸素系液体漂白剤」を自動投入できる「トリプル自動投入」など手間を省略化できる機能も備え、「洗剤・柔軟剤自動投入」搭載機種として、累計出荷台数は230万台を突破している。

一方で、Yシャツの襟元の皮脂汚れといった頑固な汚れには、現在も様々な「予洗い」を行っている方が多いことから、より手間をかけずにこれらを洗浄できる方法を模索。そのような中で、花王と専用剤および専用コースの共同開発を2021年より着手。約3年半の月日をかけ、花王はパナソニックのトリプル自動投入機能を活かした専用剤「極ラク汚れはがし」の開発、パナソニックはドラムと自動投入タイミングの見直しを図り、専用剤のパフォーマンスを最大限に発揮できる新たな仕組みの洗濯コース「汚れはがしコース」を開発したとする。

Image:Panasonic
「極ラク汚れはがし」

本コースの仕組みとして、洗剤による洗い工程がはじまる前に3タンク目にセットした極ラク汚れはがしを自動投入して、汚れを変質させて落としやすい状態にさせてから、その後に1タンク目の液体洗剤を自動投入して衣類の繊維から汚れを引きはがすことで、従来よりも洗浄力を飛躍的に高めるとのこと。

これにより、これまでつけおき洗いや予洗いを必要としていたシャツの襟、袖口の皮脂汚れや食べこぼしといった頑固な汚れでも、予洗いの手間を軽減できるようになったとする。また、温水スチームでシワ・ニオイをとるコースを柔軟剤の香りも付けられるように同社独自で開発し、アイロンがけの手間を減らしながら気分やアイテムに合わせて香り付けができるようになったとしている。

Image:Panasonic
左半分が洗浄前、右半分が洗浄後のようす

開発担当者のトークセッション。「予洗いを無くして心の余裕や家族との時間をつくりだす」

イベント後段では、パナソニック(株)くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部 衣類ケアBU商品企画の中込 光輝氏に加えて、花王(株)H&LC FC商品事業開発センターの村田 大也氏がゲスト登壇。ヒートポンプ内蔵ドラム式洗濯乾燥機「NA-LX129DL」の開発背景を語る、両者のトークセッションが行われた。

まず今回の共同開発に至ったきっかけについて中込氏は、「洗濯機において剤というのは必要不可欠な存在。お互いに使われるユーザーが同じというところで、何か一緒にタッグを組むことで生活者のためにできることがあるはずと考えた」「最初は担当者間のメールのやり取りからはじまり、2019年に両社で約30人によるワークショップを実施したことをきっかけに、色々なアイデア出しや検討を重ねたことて今日の共同開発に至っている」と語った。

パナソニック(株)くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部 衣類ケアBU商品企画 中込 光輝氏

村田氏は、「私はワークショップ後からの参加となったが、我々の剤の開発というのは色々な制約の中で行うため、その中でパナソニックのトリプル自動投入機能はその制約をなくし、3つめのタンクが使えるということに非常に可能性を感じた。洗剤、柔軟剤、そしてもう1つ新しい剤が使えるということで、我々はこの新たな剤の開発を含めてぜひ一緒にやりたい思った」と述べた。

続いて開発中に苦労した点について問われると、村田氏は「まず最初に開発をスタートさせた時、お互いの開発フローが違うことに気付いた。弊社の中でもフローがいつもと異なるため色々と調整を行う必要があったが、社内でもたくさんの方にサポートしてもらい今日を迎えられている」と話す。

花王(株)H&LC FC商品事業開発センター 村田 大也氏

それを受けて中込氏は、「パナソニックとしても洗濯機のコースや機能の開発だけでも大変な中、今回は剤まで一緒に開発することで両方をみなければならなかった。自由度が高く研究や検証、試験もたくさん行う必要があり、開発がコロナ禍だったこともあって集まる機会を設けることも難く、それぞれで試験条件を揃えるだけでも大変だった」と、開発にあたり紆余曲折があったことを語る。

また、開発中の想いについて中込氏は、「一番に予洗いを無くしたいという考えから、ワークショプの時かから洗濯機の新たなスタンダードを作りたいという想いがあった」「毎日予洗いに苦労している主婦の方などは、家事が積み重なれば自分の余裕がなくなり、家族にやさしくできなくなる。今回の新製品によって予洗いの手間をなくすだけでなく、ユーザーの心の余裕や家族との時間をつくりだせたら嬉しい」とコメント。

村田氏は、「我々も商品開発を行う上で、生活者の日々の暮らしを常に見据えるようにしていた。パナソニックと仕事して感じたのは、お互いに同じ暮らしを見据えていた点。これまで色々な商品を出してきたけれど、共同開発としてリリースする今回の新製品は、洗濯の新たなスタンダードになるはず」と力を込めた。

トークセッションの様子

最後に中込氏は、「パナソニックも花王も、お互いに長い歴史の中で技術の蓄積がある。今回ご一緒してお互いの得意なことを出すことで、新たな価値を生み出すことができた。パナソニックという洗濯機メーカーだけでは成し得なかった商品になっているので、ぜひ多くの方に使ってみていただきたい」と力強く締めくくった。

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