穴はサムスンとLGで埋められそうではあります

「iPhone SE 4」供給にも影響? 中国BOEが米ブラックリスト入りの可能性

Image:T. Schneider/Shutterstock

中国による国内ディスプレイメーカーへの補助金拠出は米国にとって安全保障上のリスクがあると、米議会から国防総省に書簡が送られた。最終的には、アップルがディスプレイ供給元の変更を迫られる可能性が浮上している。

米下院にて「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委)」の委員長を務めるジョン・ムーレナー議員(共和党、ミシガン州)は国防長官に、中国政府が助成する液晶および有機EL関連メーカーが、米国の経済および国家安全保障に対する脅威を増大させているとの書簡を送った。

中国政府による補助金は、非中国企業を市場から排除し、「業界における中国の優位性」を強化すると主張している。

この中で名指しされているBOEとTianmaは、ともに次期廉価モデル「iPhone SE 4」の有機ELサプライヤーとして名前が挙がっている企業だ。書簡では、両社が中国人民解放軍と結びついているとしている。Tianmaは中国航空工業集団公司の子会社であり、BOEは当初、軍事および防衛サプライヤーとして設立されたとのことだ。

こうした主張を元にムーレナー氏は、国防総省に対して、BOEとTianmaをともに中国の軍事企業とみなして、ブラックリスト(DoD 1260h)に載せるよう要請している。このリストに掲載されれば、指定された企業ばかりか、その顧客も制裁対象となり、米国企業との取引が制限される可能性もある。

アップルはグローバルなサプライチェーンを構築しており、iPhoneやiPad、Mac用のディスプレイを複数の企業から調達している。その中でもBOEは、今年もiPhone 16やiPhone 16 Plus用のディスプレイを供給しており、iPhone SE 4では主要サプライヤーになると見られ、アップルのコスト削減と品質維持の両立において大きなウェイトを占めつつある。

もっとも、アップルは長年にわたりサムスンディスプレイとLGディスプレイの2つを主力サプライヤーとしており、ほとんどの注文は両社で占められている。アップルにとっては韓国企業への依存を減らす上で痛手となるが、iPhoneのディスプレイが供給不足になる恐れは少ないだろう。

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