筆者の結論は……

「Pixel Watch 3」レビュー。サイズ毎の違いは? 買い替えるべき? 前モデルとの違いを確認

「Pixel Watch 3」

Googleは9月10日、第3世代となるスマートウォッチ「Pixel Watch 3」を発売した。これまで41mmモデルのみだったが、今回は45mmモデルの追加で2サイズ展開になっている。従来通りLTEモデルも用意され、au/ドコモ/SoftBankから発売されている。

サイズが大きくなった45mmモデルはともかくとして、41mmモデルは、外観的にはPixel Watch 2と見分けがつかない。はたして、Pixel Watch 2から何が変わったのか、買い替える価値はあるのか。発売前に試用する機会を得たので、主に変更点を中心に紹介しよう。

2モデル展開になったPixel Watch 3

先に触れた通り、Pixel Watch 3では従来の41mmモデルに加えて、45mmモデルが追加された。45mmモデルは、41mmモデルをそのまま大きくした印象だ。デザイン的には、サイズ以外に特に変わったところはない。

▲Pixel Watch 3、41mmモデル(左)と45mmモデル(右)
▲背面のセンサーもPixel Watch 2から変わっていない。なお、充電端子のサイズも同じなので、Pixel Watch 2の充電ケーブルが、41mmモデルと45mmモデルの両方にも利用できる

ただし、バンドのサイズは両モデルで異なっている。41mmモデルのバンド幅は20mm。接続部の形状も従来と同じなので、初代Pixel WatchやPixel Watch 2の交換バンドを使用できる。これに対して45mmモデルのバンド幅は22mm。接続部の形状も変わっており、41mmモデルのバンドは流用できない。

▲41mmモデルのバンド(上)と45mmモデルのバンド(下)。接続部の形状が異なるので41mmモデルのバンドを45mmモデルに着けるといったことはできない

デザイン的には変わりがないPixel Watch 3だが、ディスプレイの仕様には若干の変更が加えられた。具体的なサイズは公開されていないが、ベゼルが狭くなり、画面サイズはPixel Watch 2と比較して41mmモデルは10%、45mmモデルは40%大きくなっている。また、リフレッシュレートもPixel Watch 2の30Hzから1~60Hzの可変になった。常時表示では1Hzまで下げることで、電力効率を上げている。最大輝度も1000ニトから2000ニト(ピーク輝度)と2倍になり、屋外での視認性がアップしている。

もともと、あまり動きのある画面ではないので、リフレッシュレートの違いを感じることはできなかった。だが、Pixel Watch 2と並べてみると画面サイズが拡大しているのがよくわかる。

▲Pixel Watch 2(左)とPixel Watch 3(右)。デザインは変わっていないがPixel Watch 3はベゼルが細くなり表示エリアが拡大している

Pixel Watch 3の新機能

新モデルとはいえ、基本的にはベーシックなWear OSスマートウォッチなので、操作性自体に変更はない。画面上から下へのスワイプで設定メニューの表示、下から上へのスワイプで通知を表示、左右のスワイプでタイルを切り替えられる。

▲操作性は変わっておらず、左右のスワイプでタイルを切り替えられる。写真は心拍数のタイル

リューズを押し込むことでアプリ一覧を表示。リューズの回転はスクロールに対応する。また、サイドボタンは最近使ったアプリを表示、長押しでGoogleアシスタントを起動する。

▲リューズを押し込むとアプリ一覧の表示、サイドボタンを押すと最近つかったアプリが表示されるのは以前から変わっていない

操作性に変化はないとはいえ、Pixel Watch 3では、いくつかの新機能が追加されている。主なところでは、「リアルタイムのランニングガイダンス」「毎日のおすすめランニングメニュー」「高度なランニングフォームトラッキング」「ランニングパフォーマンスダッシュボード」など、ランニング関連の機能が充実している。

これらの機能は、日常的にランニングをしないユーザーにとってはあまり意味がないかもしれない。しかし、それ以外でもフィットネス関連機能として「今日のエナジー」「有酸素運動負荷」「目標負荷」「朝のブリーフィング」が追加されている。

「今日のエナジー」は、前日の心拍変動(HRV)、過去2週間の睡眠状況、安静時の心拍数(RHR)から身体の回復度合いを示すというもの。エナジースコアが高ければ高強度のワークアウトにも適しており、スコアが低ければ軽めにとどめたほうがいいという判断の材料になる。

「有酸素運動負荷」は、1日にどれだけの強度の運動を行ったかを測定するためのもの。ランニングなどのワークアウトだけでなく、早歩きや家事なども考慮される。「目標負荷」は、有酸素運動負荷の目標を設定するもので、直近の有酸素運動負荷の状況などから設定される。

▲新機能の「今日のエナジー」と「有酸素運動負荷」。Fitbitアプリで確認できる

「朝のブリーフィング」は、朝起きたタイミングで、睡眠の状況や今日のエナジー、天気などを通知してくれるものだ。朝一番に必要な情報を確認できるので、その日の回復状況(今日のエナジー)などを加味しつつ、トレーニングメニューなどを考えられる。一般的な会社員の場合、時間的な制約もありトレーニングを調整する幅はあまりないかもしれないが、運動に限らず仕事のペースを考えるのにも役立つはずだ。

▲「朝のブリーフィング」は起床後(おやすみモード解除後)、10~15分で表示される

フィットネス関連以外では、Pixelスマートフォンに搭載されている「レコーダー」アプリがPixel Watch 3上で利用可能になった。スマートフォン版とは違い、デバイス上で文字起こしをすることはできないが、ちょっとした音声メモとして活用できそうだ。

なお、これ自体にスマートフォンやクラウドへのバックアップ機能はないが、Pixelスマートフォンとペアリングしている場合にはスマートフォンのレコーダーと同期が可能だ。このため、スマートフォン側での文字起こしや、クラウドにバックアップすることもできる。なのだが、Pixel 9 Proとのペアリングではバックアップすることができなかった。以前に、Pixel 7とのペアリングでバックアップ可能なことは確認していたのだが、なぜバックアップできなくなったのか、試用期間中には判明しなかった。

▲レコーダーがPixel Watch 3上で利用可能だが、Pixel Watch 3上では文字起こしなどができない

バッテリー持ちは良くなった

Pixel Watch 3の41mmモデルは307mAh、45mmモデルは420mAhのバッテリーを搭載しており、バッテリー持ちはどちらも常時表示オンの状態で最長24時間となっている。バッテリーセーバーモードを利用すると、最長で36時間まで延長できる。

実際に試したところ、41mmモデルは常時表示と自動おやすみモードを有効にした状態で、24時間後にはバッテリー残量が15%となっていた。Pixel Watch 2は、バッテリーの劣化も考えられるが、朝に満充電にしていても寝る前に充電しなければいけないこともあった。そのため、バッテリー持ちがよくなったのは間違いなさそうだ。とはいえ、やはり毎日の充電が必要なのは変わらない。

これに対して45mmモデルは、24時間経過後もバッテリーが45%残っていた。そのまま継続して使ったところ、途中でバッテリーセーバーモードには入ったものの、丸2日利用することができた。筆者は1日約1時間半のウォーキングでGPSを利用しているので、GPSを使わなければもう少し利用時間は伸びそうだ。利用環境に依存するが、フィットネス系の機能を使わないのであれば、1泊2日程度なら充電ケーブルを持ち歩く必要はないかもしれない。

45mmモデルなら買い替えもあり

約1週間使ってみた感想としては、41mmモデルの場合はPixel Watch 2からの買い替えはおすすめしにくい。ランニング向けには便利な機能が追加されているので、それが目当であれば買い替えを検討してもいいだろう。そうでなければ、いくつかの機能改善はあるものの、あえて買い替えるほどの魅力はないというのが正直な印象だ。

ただ、45mmモデルの場合、画面が大きくなり視認性が向上したことに加え、バッテリー持ちも格段に良くなっている。こちらはPixel Watch 2からの買い替えもありだ。筆者自身、45mmモデルを試すまでPixel Watch 3を購入する気はなかったのだが、1週間の試用で意見が変わり、注文してしまった。

じっくり試用できる機会が少ないのは残念だが、家電量販店には展示されているはずだ。ぜひ実際に手にとり、自身の手でサイズ感や操作感などを確かめて欲しい。

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