いまだにXboxクラウドゲーミングのiOSアプリは登場せず

マイクロソフト、アップルのクラウドゲーミング規制緩和は不十分だと主張

Image:rafapress/Shutterstock

今年初め、アップルはApp Storeの規制を緩和し、アプリを通じたゲームのストリーミングを許可した。これまでiPhoneやiPadでブラウザを通じて遊ぶ他なかったクラウドゲーミングが、ついにアプリで利用できる道が開けたかたちだ。

それから7か月以上経った今なお、iOS用Xbox Cloud Gamingアプリが実現していないのは、マイクロソフトが「アップルの規制が依然として障害になっているためだ」と主張していることを、The Vergeが報じている。

マイクロソフトは7月に英競争市場庁(CMA)に提出した文書で、アップルが1月、3月、4月にApp Storeガイドライン(セクション4.9および4.7)を変更しただけでは、iOSでネイティブのXbox Cloud Gamingアプリを運用するには不十分だと述べている。

同社が指摘している主な問題は、「IAP(アプリ内購入/App Store経由での支払い)要件」と「ユーザーがデジタルコンテンツを購入できる外部サイトへのリンクを禁止するルール」の2つである。

まず前者については、アップルはiOSアプリ内の全てのコンテンツ、定期購読、機能(マルチプラットフォームゲームでの消耗アイテムを含む)につきIAPの使用を求めているが、30%もの手数料はクラウドゲームサービスの収益化を不可能にするという。

またサードパーティのゲーム開発者は、IPA要件を満たすためにゲームの再コーディングが必要になるとも主張。アップルに手数料を徴収されるために、わざわざ追加の開発コストを掛けていれば持続不能になるというわけだ。

さらに外部の購入サイトへのリンク禁止は、具体的にはApp Reviewガイドラインの3.1.1(a)を指している。アップルは「リーダー」アプリには例外を設けているが、同社はCMAへの申し立てで「ゲームアプリをリーダーとして承認したことは一度もない」と主張し、アプリ開発者がクラウドゲームの文脈でIAPに対する自社の姿勢を疑問視すべきではないと述べているとのことだ。

一連の主張の後、マイクロソフトは「アップルのガイドライン変更をもってしても、CGSP(クラウドゲーミングサービス業者)がApp Storeでアプリを提供することはできない」と結論づけている。

これに対してアップルは8月上旬、CMAに反論する文書を提出している。そもそもiOSでのゲームを可能にするために自社が開発した様々なテクノロジー、ウェブアプリのサポート、今年初めのポリシー変更以降の開発者との関わりを強調。さらにクラウドストリーミングサービスとしてAntStreamも提供中であり、他にもいくつかのサービスが開発中だと述べている。

Xbox Cloud Gamingで配信中のゲームでアプリ内課金を提供しているものといえば、Fortniteが代表格だろう。いちユーザーにとっては、マルチプラットフォームであれば他のハード上で課金すればいいとも思えるが、マイクロソフトはそうは捉えないのかもしれない。

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