「Snapdragon 8 Gen 3」などに及ばないベンチマーク結果も登場

「Pixel 9 Pro XL」、強力冷却システムでも過熱を防げず?性能50%低下の検証結果

Image:Google/Youtube

Googleは「Pixel 9」シリーズ発表イベントにて標準モデルを除き、「Pixel 9 Pro」「Pixel 9 Pro XL」「Pixel 9 Pro Fold」の3機種にベイパーチャンバーなど先進的な冷却システムを搭載したと強調していた。最新チップ「Tensor」の排熱を補うことで、十分なパフォーマンスを引き出すためである。

しかし、最上位かつ最大サイズのPixel 9 Pro XLでさえチップの過熱を防ぐことはできず、負荷をかけ続けるストレステストではパフォーマンスが50%低下したとの検証結果が公表されている。

YouTuberのShazzam(@callmeshazzam)氏は「Tensor G4」の高性能コアが3.10GHzから1.32GHzに低下し、高効率コアは1.92GHzから0.57GHzまで下がったと報告している。8つのコアともに、サーマルスロットリング(熱による破損を防ぐためにクロック数を低下)が始まるまでに3分もかかっていない。

「Pixel 8シリーズ」でもストレステストのもとではチップ温度が45~46度まで上がり、顕著なサーマルスロットリングが確認できた。新機種でベイパーチャンバーを導入しても、冷却の劇的な改善はないようにも見える。

もっとも、今回の結果は鵜呑みにはできない。まず、Pixel 9 Pro XLがテストされた際の周囲温度が不明だが、低ければサーマルスロットリングが起こりにくく、逆に高れば生じやすくなる。

また、同様のストレステストをMediaTek製「Dimensity 9300」とベイパーチャンバーを搭載したVivo「X100」で行った際には、やはり最大性能から46%も低下していた。本チップはTSMCのN4P(TSMC 5nmプロセスの第3世代)により製造されて電力効率も高まっており、このテストそのものが過酷な負荷をかけ、どのチップに対しても厳しい結果をもたらす可能性がある。

熱設計はさておき、Tensor G4は前G3と比べれば性能が向上しているものの、競合する「Snapdragon 8 Gen 3」などには及んでいないことを示すベンチマーク結果も登場している。純粋にチップ性能の飛躍を期待するのであれば、完全新規設計となりTSMC製造と噂される(これまでのTensorシリーズは全てサムスン製)「Pixel 10」搭載の「Tensor G5」を待つしかなさそうだ。

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