マイクロソフト自らが「ゲーム機がなくてもXboxゲームはできる」と宣伝
Xbox、ゲームハード売上が前年同期比で42%の落ち込み。衰えが速すぎる?
米マイクロソフトは2024年第4四半期(4~6月)の決算発表で、Xboxゲーム機の売上げが前年同期比でなんと42%も減少したことを明らかにした。
マイクロソフトのCEOであるエイミー・フッド氏はその後の電話会見で、次期四半期もゲームハード売上が減るとの見通しを投資家に述べている。
この大幅な落ち込みは、同社のゲームハードの売上げが長期にわたり顕著に鈍化していることを示すものだ。過去7四半期中、実に6四半期(過去9四半期中7四半期)も前年同期比で減少を続けている。
それでも42%もの減少は、2020年に「Xbox Series X/S」を2020年末に発売して以来、圧倒的に大きなものだ。それに次ぐ2023年第2四半期も、前年同期比で11%減に留まっていた。
マイクロソフトは競合他社のように総出荷台数を公表していないため、正確な数値は分からない。が、ビデオゲーム調査会社のアナリストは、前四半期(1~3月)でのXbox販売台数は90万台以下であり、PlayStation 5の450万台と比べて5分の1だと推定していた。
Xbox Series X/Sの販売台数がピークに達したのは2022年のことで、発売から2年である。通常、成功したゲームハードの売上は発売4~5年目にピークを迎え、後継機の発売に向けて緩やかに減っていくものだ。今回のパターンは、そこから著しく逸脱している。
2017年に発売されたNintendo Switchはライフサイクルの末期に差し掛かり、すでに売上減少期に突入している。とはいえ、前年同期比36%減の196万台に留まっており、「発売5年目(Xbox)のハードが8年目のハードより落ち込みが激しい」事態となっている。
かたやソニーのPS5の販売台数はここ数年にわたり増え続けており、2023年度通期で2080万台に達していた。だが、1~3月期には前年同期比で28.5%以上も減っており、前年同期比でマイナスとなったのはこれで3度目となる。
いずれのゲームハードも、2024年に入ってさほど好調とはいえない。そのなかでも、Xboxハードの不調は際立っている格好だ。
その一方、マイクロソフトのゲーム・コンテンツおよびサービスの売上は、最新四半期で前年同期比61%増という目覚ましい伸びを示している。しかし、そのうち58%は「アクティビジョン買収による純影響」とのこと。そもそも、この買収には687億ドル(買収完了の2023年10月時点で約10兆円)かかっている。
Xboxハードウェア売上の落ち込みを見れば、マイクロソフトが定額プランXboxゲームパスに注力していることも頷ける。フッドCFOも「本当のゴールは、より多くの場所でより多くのユーザーに幅広いコンテンツを提供し、ソフトウェアへの投資とサブスクリプション・ビジネスを構築することだと思う」「ゲームパスの進捗状況には本当に勇気づけられる」と語っていた。
こうしたゲームパス好調・ハードウェア低調の状況が今後も長引けば、近い将来にマイクロソフトにとって物理的なゲームハード事業がXboxブランドの中核ではなくなる、さらには縮小に向かう可能性もありそうだ。
実際、EU等でXboxハードを販売中止にするとの噂もあり、安価な「Fire TV Stick」でXbox Cloud Gamingがプレイ可能になったことを「ゲーム機がなくても数百のXboxゲームがプレイできる」と宣伝している。
- Source: Microsoft
- via: Ars Technica