宇宙初期の星の爆発もいつか見えるかも

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、超新星を偶然発見。30~40億光年彼方に

Image:STScI

宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)の天文学者は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が最近撮影した画像のなかに、なにやら異常な現象が発生しているのを発見した。

宇宙望遠鏡が備える近赤外線カメラ「NIRCam」を使い、地球から約30億~40億光年離れたSDSS.J141930.11+5251593と呼ばれる銀河を5日間隔で2度観測したところ、そこに見える天体がわずかに明るくなり、超新星爆発に典型的な変化を見せたとのこと。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はもともと、バイデン大統領が発表した「SMACS 0723」などのように、非常に遠い銀河の狭い範囲をクローズアップして見るのが本来の用途。そのため、超新星爆発のような短い時間で発生する現象を観測するために設計されているわけではない。

今回見つかったこの明るい天体は5日間で暗くなったことから、超新星爆発が発生した直後に運良くその方向を宇宙望遠鏡が観測した可能性が高いと思われた。そして、ハッブル宇宙望遠鏡が過去に取得した観測データとの比較から、この光はやはり、JWSTが発見した最初の超新星だと確認された。

今回の事例から、JWSTは今後も機会があれば超新星を発見する可能性があると考えられる。しかもジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は遙か遠くの古い銀河を観測することを想定しているため、条件が合えば初期の宇宙で発生した最初の世代の星が、その命を終える瞬間をとらえることもできるかもしれない。

JWSTを運用するSTScIの天文学者で、今回の観測を発表したMike Engesser氏は「最初の数百万年の間に生まれた星は、現在の星とは異なり、ほぼ完全に、水素とヘリウムでできていた思われる。それらは太陽の200倍から300倍の質量があり『早く成長して早く死ぬ』ような一生だったはずだ。このようなタイプの星の爆発は、まだ観測された例がない」と述べている。

ちなみに、超新星爆発そのものはほんの数秒のあいだの出来事であり、検出すること自体が難しい現象だ。この現象が引き起こす、はじけたあとの塵やガスが放つ明るい光も数日後には消えてしまうため、望遠鏡が正しい方向を正しいタイミングで見ていなければ捕捉できない。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がこの光を捉えたのがただの幸運だったのか、その遠くまで見通せる目の良さによって今後もときおりチャンスが訪れるのかは、いまはまだわからないが、後者であることを期待したいところだ。

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