EUのAI法に対応

ソニーミュージック、AI強化目的の「無許可のコンテンツ使用」を700以上の企業に警告

Image:Sony Music

ソニー・ミュージックグループ(SMG)、はAI開発企業および音楽ストリーミングサービス各社に対して、自社のコンテンツをAI強化学習に使用することを「オプトアウト」すると宣言した。

これにより、SMGのコンテンツをAI開発に使いたい開発者は、明示的に許可を得なければならなくなる。SMGは、700ものAI開発者や音楽ストリーミング企業に書簡を送っており、その書面には、送付先企業がすでにSMGの著作権を侵害している可能性があると警告しているとのことだ。

書簡はさらに、不正使用がないことを確約するか、すでに使用されたSMG所有のコンテンツに関する情報を開示し、「当該SMGコンテンツが、貴社もしくは貴社の関連会社、または貴社に代わってその作業を請け負った第三者によって、どのような方法でアクセスされ、複製され、抽出されたかを説明」するよう求めている。これには回答期限が与えられており、回答が得られなければ「すべての法域で適用される法律で認められる最大限の範囲で」著作権を執行するとしている。

また、音楽ストリーミング企業に対しては、AI開発者がソニー所有のコンテンツをライブラリから無断使用しないようにするため、何らかの措置を講じることを期待するとしている。具体的には、SMGとの協議のうえ、コンテンツのマイニングやスクレイピングを禁止するよう利用規約を更新することを求めているとのことだ。

今回の動きは、欧州連合(EU)が最近可決したAI法への対応だとされている。この法律は汎用AI技術の開発者に対し、AIモデルの学習に使用した資料を記録し、公表することを求めている(ただし、一部で「汎用」の定義が明確でないとの指摘もある)。また2019年のEUデジタル著作権指令では、AI開発者が、オプトアウト済みの著作権者が所有する著作物を、AI技術のために使用する場合、許可が必要になるとされている。

最近、SpotifyなどのストリーミングサービスではAIで生成された音楽の配信が増えつつあり、生成AIの台頭により著作権侵害が重大な問題と認識されてきている。著作権者が一方的に無断使用の被害に遭うだけでなく、今月初頭にはドレイクのような著名なアーティストまでが、1996年に死去したラッパーのトゥパック・シャクール(2Pac)の声をAIで複製したことで批判にさらされた。

SMEはAIの「大きな可能性」を認識しているものの、「AIシステムのトレーニング、開発、商品化におけるSMGコンテンツの不正使用」は同社とそのアーティストの管理権と「適切な補償」を奪うことになると述べた。

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