アップルは動くに動けず?

TikTok、App Store手数料を回避?アプリ内でコイン割引きサイトに誘導か

Image:Below the Sky/Shutterstock.com

中国ByteDanceが所有するショート動画共有アプリTikTokは、米議会から約9か月以内に米国内での事業を売却するか、使用禁止にするかを迫られるなど、何かと物議を醸している。そんななか、同アプリがアプリ内購入につき、App Storeの手数料を回避している可能性が浮上している。

X(旧Twitter)ユーザーのDavid Tesler氏は、TikTokがライブ配信者へのギフティング(投げ銭)等に使えるコインを購入できるウェブサイトへのリンクを提示しているというスクリーンショットを投稿。これらのコインは本来アプリ内課金で購入され、アップルに30%の手数料を支払うものだ。

このオプションでは、TikTok公式サイト経由で「リチャージ」、つまりコインを割安で購入できる画面が表示されている。「tiktok.comでリチャージして、アプリ内購入の手数料を避けよう」とのメッセージまである。

ただし、この画面をどれだけのTikTokユーザーが見ているのか。いつ、どのように表示されているのかは不明だ。Tesler氏によると、前に大量のコインを購入したアカウントに提示されたという。

提示されたリンクをたどったユーザーは、コインを購入できるサイト「tiktok.com/coin」に移動。そこではApple Payやデビットカード、クレジットカードなど様々な支払手段が用意されている。さらには「サードパーティの手数料が割引されるため、25%程度低価格になります」との説明もある。

アプリ内のバーチャル通貨やアイテムを、アプリ外のサイトで販売しても問題はない。ただし、アップルはアプリ内に、外部の決済手段に誘導するリンクを設置できるアプリの種類を制限している。

かつて、同社は全面的に外部リンクの設置を禁止していた。それが2022年には軌道修正されたが、あくまで「リーダーアプリ」と呼ばれるものに限る。

アップルのいうリーダーアプリとは「雑誌、新聞、書籍、オーディオ、音楽、動画などのデジタルコンテンツの提供を主な目的としたアプリ」である。さらに、この扱い(「外部リンクアカウントエンタイトルメント」)を選んだアプリは、アプリ内購入を提供できなくなる。

そしてTikTokはアプリ内購入機能を備えている。つまり、同アプリはアップルの規約に違反している可能性がある。

かつてEpic GamesはiOS版『Fortnite』内に、App Storeを介さず自社に直接支払う「Epicディレクトペイメント」を実装したところ、アップルにアプリを削除された

それをTesler氏も指摘しているが、TikTokの扱いは米中間で政治問題となりつつある。またアップルにとっても中国市場は貴重であるため、事態を刺激する行いは控えるのかもしれない。

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