OpenAIはフェアユースと考えています
OpenAI、GPT-4の強化にYouTube動画を100万時間分以上使用か。著作権の問題含む可能性も
先週、AI大手のOpenAIは、AIをトレーニングするためのデータの入手に困っていると報じられた。またNew York Timesは、各社がAI強化用のデータを集めるために行ってきた方法のいくつかを詳述した。
そしてこの記事の中で、GPT-4のトレーニングデータ集めに困窮したOpenAIは、音声認識AI「Whisper」の文字起こし機能を利用し、100万時間におよぶYouTube動画からテキストを書き写したと報じられている。
New York Timesによると、OpenAIは2021年に使用可能なAI強化用データを使い果たし、その後はGithubのコンピューターコード、チェスの指し手のデータベース、オンライン学習ツールQuizletの学校課題コンテンツデータなどで大規模言語モデルをトレーニングしていた。そしてさらにデータを収集するため、YouTubeビデオ、ポッドキャスト、オーディオブックの文字起こしについて議論したという。
同社はこれが法的に問題があることは承知していたが、フェアユースであると信じていたと報じている。またOpenAIの社長グレッグ・ブロックマン氏が、個人的に動画の収集に関与したとも伝えた。
OpenAIの広報担当者は、同社のAI強化には「一般に公開されているデータや非公開データのパートナーシップを含む数多くの情報源」を利用しており、独自の合成データの生成も検討していると述べている。
一方、Googleの広報はOpenAIの活動に関する「未確認の報告を見た」として「当社は利用規約でYouTubeコンテンツの無許可のスクレイピングやダウンロードを禁止している」と述べている。ちなみに、YouTubeのニール・モーハンCEOは、OpenAIが動画生成AI「Sora」の強化のためにYouTubeを使用した可能性について、同様のことを述べ、そのような不正利用の防止のため「明確な法的・技術的根拠がある場合には相応の手段を講じる」とした。
OpenAIやGoogleを初めとするAI業界の企業たちは、大量のデータがあればあるほど精度が向上する大規模言語モデルの学習データが急速に消費されてしまうことに頭を悩ませている。
この問題に対応できる可能性ある解決策としては、自社のモデルによって作成された「合成」データでモデルをトレーニングする方法や、いわゆる「カリキュラム学習」がある。もうひとつの選択肢は、許可を得ているか否かによらず使えるデータは何でも使うことだが、ここ最近は大小さまざまなAI企業に対して、著作権あるデータの無断使用に関する訴訟が起こされており、堅実なやり方と言うのは難しそうだ。
- Source: New York Times Wall Street Journal
- via: The Verge