黒字化を前に創業者が離脱
Stable Diffusion開発会社のCEO辞任。「分散型AIを追求するため」
画像生成AI「Stable Diffusion」で知られる、AIスタートアップ企業Stability AI。同社の創業者で最高経営責任者(CEO)のエマド・モスターク氏がCEOを辞任すると発表した。後任CEOは決まっていないが、COOのシャン・シャン・ウォン氏とCTOのクリスチャン・ラフォルテ氏が暫定の共同CEOに就く。
モスターク氏はX(Twitter)への一連の投稿の中で、OpenAIやAnthropicのようなAIスタートアップの所有構造に言及し「中央集権的AI」をいくら追求したところで、先行するさらに大規模な「中央集権的AI」には勝てないとの考えを示した。
さらにStability AIについては、自分が最も多くの支配的株式を保有していたため、トップの座から退くことを決断したと主張した。「AIの重要性が増すにつれて、我々はより透明で分散したガバナンスを持つべきだ」「AIにおける権力の集中は、我々全員にとって悪いことだ。私はStability & elsewhereでこれを解決しようと思い、退任することを決めた」
Bloombergは、毎月800万ドルの予算を要するStability AIが、40億ドルの評価額で新たな資金調達を試みたものの、失敗に終わったと伝えている。
約1年前には、Stability AIはこれほどまでに資金調達で困ってはいなかった。モスターク氏はXで「テクノロジーは有用だが、ほぼ毎日新しいブレークスルーが起こるため、漠然と成熟しているとは言い難い」とし、それにもかかわらず多くの生成AI企業が「奇妙なことに、収益化のことばかり考えている」と述べていた。
しかし、2月にモスターク氏がRedditに投稿した内容は「今年はすでに順調で、予測を上回っている。私たちの目標は今年中にキャッシュフローを黒字にすることで、遅かれ早かれ達成できると思っている」と、自社の収益化について述べており、その意識に変化があったことを示唆していた。
カスタムモデルやコンサルティングなども含め、生成AIに関する市場は巨大化しつつあり、今後企業への導入も進むなか、合理的なビジネスモデルになっている。AI界隈で変化に見舞われているのはStability AIだけではない。約15億ドルを調達した新興のInflection AIでは先週、共同創業者2人がいくらかのスタッフを引き連れて離脱し、マイクロソフトに加わることが発表されている。
- Source: Stability AI
- via: TechCrunch