今のダイナミックアイランドに落ち着いてよかった

iPhoneの「ダイナミックアイランド」には様々な没デザインがあった

Image:Thanes.Op/Shutterstock.com

アップルは2022年発売のiPhone 14 Proモデルに、iPhone X以来のノッチ(画面上部の切り欠き)に代えて「ダイナミックアイランド」を導入した。システム通知や音楽・ポッドキャストのミニプレイヤー、Uber Eatsの配達状況を表示したりと、すでに日常生活のなかで馴染まれている。

この領域は、自撮りカメラとFace IDセンサーを囲むスペース(それぞれの視界を確保するため、画面に穴が空いている)を有効活用しており、アイデアの勝利と言える。が、現在の形に落ち着くまでに、いくつもの没デザインがあったと米MacRumorsが独自の情報源に基づき伝えている。

アップルはiPhoneのノッチ部分につき、何年にもわたって様々なアイデアを模索してきたという。それらを元のまま公開できないため、MacRumorsは情報を元に再現した画像を公開している。

その1つは、画面の右側にポップオーバー(随時ポップアップして画面にオーバーレイ表示)メニューを設け、時刻や電波状況、Wi-Fiの強度、ディスプレイの明るさ、音量、バッテリー残量に素早くアクセスできる。このメニューは2つ目のノッチ的なもので、不要なときは消える。

Image:MacRumors

第2のアイデアは、画面上部を真っ黒なステータスバー領域としてノッチを隠すことだった。有機ELディスプレイは黒色の表示=発光素子をオフにするため、バッテリー持続時間は延びたと思われるが、時刻やWi-Fi、バッテリー残量等を表示していない部分は画面のムダ遣いになりそうだ。

後にアップルはダイナミックアイランドの案を思いつき、下図のように様々なデザインを検討したという。

Image:MacRumors

当初、ダイナミックアイランドは画面上部に細長く表示し続けていたが、必要に応じてサイズを変更した方が邪魔にならないと判断した。また、音量とシステム・ショートカットを全て表示することや、通話中の電話はダイナミックアイランド内に表示しないレイアウトもテストしたとのことだ。

昨年秋のiPhone 15シリーズでは、ダイナミックアイランドは標準モデルにも展開された。その一方でノッチ付きのiPhone 13、iPhone 14、iPhone 14 Plusの販売は続けている。

信頼性の高いディスプレイ専門アナリストRoss Young氏は、早ければ2025年には自撮りカメラとFace IDセンサーをディスプレイ下に移ると予想している。その際にダイナミックアイランドに代わる仕組みが登場するのか、それとも「画面に穴」がなくなりながらも継続するのか、興味深いところだ。

関連キーワード: