イーロン・マスク氏、Neuralinkが初めて人間に脳インプラントを実施したと報告

Munenori Taniguchi

@mu_taniguchi 2024/01/30 12:07

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イーロン・マスク氏は、自身が設立した脳インプラント開発企業Neuralinkが、最初のヒトの脳へのチップ埋め込み手術を行ったとX（Twitter）に述べた。患者は術後、順調に回復しているという。

Neuralinkは、2023年3月に米食品医薬品局（FDA）からヒト臨床試験の申請を却下されていたものの、その後5月の再申請で承認を得ていた。そして、9月には臨床試験の被験者の募集を開始していた。Neuralinkは、最初の手術は脳インプラントの安全性と有効性、およびインプラントを埋め込む医療行為そのものをテストするために行うとしていた。

今回実施された、脳にチップを埋め込む手術は、頭蓋骨に必要な大きさの穴を開け、そこにチップの電極から伸びたワイヤーを縫い込むとされている。これは非常に微細な作業になるため「R1」と呼ばれる手術ロボットが担当することになっている。またチップは患者の脳と皮膚の間、頭蓋骨を開けた部分に固定され、ワイヤーを通じて脳のニューロンの信号をコンピューターとの間でやりとりするという。

Neuralinkは、当初は精神的および身体的な疾患を持つ個人に対する解決策を提供することに注力するとし、最初は四肢麻痺の患者がそれを回復するための処置を実施するつもりだとしていた。

今回、手術を受けた患者の身元や病状などは明かされていないが、マスク氏はXへの投稿で「初期の結果は、有望なニューロンスパイクの検出を示している」と述べている。

蛇足だが、人の脳へのインプラント手術はこれが世界初というわけではない。たとえばパーキンソン病の治療においては、脳に埋め込んだ電極から発する微弱なパルスで患者のニューロンを刺激して、脳の機能を回復させるといったことが行われている。

さらに、今月18日に学術誌Nano Lettersに掲載された、やはりパーキンソン病に関する研究では、脳インプラントではなく、非常に小さなナノスケールの磁性体をマウスの視床下核に注入し、外部から磁化することでニューロンを刺激したところ、運動症状の改善が見られたと報告されている。