クリエイティブの仕事を奪うことへの警戒感強し

ゲーム開発者の約半数が「職場で生成AIツールを使用中」との調査結果

Image:VesnaArt / Shutterstock.com

ゲーム開発者カンファレンスGDCを主催するInforma Techは、3月18日~24日開催の「GDC 2024」に先立ち、ゲーム開発プロフェッショナルを対象とした調査結果「2024 State of the Industry」を発表した。昨年10月時点での、業界関係者3000人以上の意見を集約したものだ。

この年次調査は12年前から調査会社Omdiaと共同で実施しているが、ChatGPT、DALL-E、GitHub Copilot、Adobe Generative Fillなど生成AIツールの使用についてのアンケートを取ったのは今回が初めての試みだ。

それによれば、すでに生成AIツールを職場で使っているという回答者の割合が、ほぼ半数の49%に達した。その内訳は、自らが利用しているとの回答が全体の31%、同僚が使っているとの回答が18%を占めている。

Image:GDC

とはいえ、スタジオの部署によってはAIツールの導入意欲に差があることも判明。たとえばビジネス・金融部門の44%がAIツールを使っていると答えたのに対して、ビジュアル・アート部門はわずか16%、ナラティブ/ライティング部門は13%に留まっている。

自社でAIツールを使っていないという回答者は、全体の38%。その内訳は、15%が会社としてAIツールの追求に「関心がある」と答える一方、23%は「関心がない」というものだ。

また別の質問では、全回答者の12%が自社でAIツールの使用を全く許可されていないとのこと。この数字は最大手の「AAAデベロッパー」に属する回答者の中では21%にも上っている。さらに7%が、特定のAIツールに限って許可されていないと回答し、30%が社内でのAIツールの使用は「任意」だと答えている。

こうした状況は、事実としてAIツールが広く受け入れられていることを示している。かといって、開発者の間でAI使用に対する心配が減ったわけではないようだ。

全体の実に42%が、ゲーム開発に生成AIを使うことの倫理性について「非常に懸念している」と回答し、さらに42%が「やや懸念している」と答えている。「まったく懸念していない」というのは、たった12%である。

また開発者らはAIツールの主な用途として、コーディング支援やコンテンツ制作の効率化、反復作業の自動化を挙げている。ある匿名回答者は「現在のワークフローを支援し、個々のアーティストに力を与えるAIツールを見てみたい」「私が見たくないのは、クリエイターが担うべき仕事の99%を行う、AIアーティストの集合体だ」とコメント。クリエイティブがAIに役割を奪われる警戒感が強いようだ。

ほかゲーム開発者のうち、今後のプロジェクトでブロックチェーン技術を使うことに多少なりとも興味があるのは17%に過ぎず、昨年の27%から大幅に減少している。少し前には伝説の名作RPG『ウルティマ』生みの親がブロックチェーンとNFTに特化したMMO制作を発表した一方で、ゲーム会社CEOが「NFTは悪夢」と発言して拍手喝采を集めていたが、すでに一時期の熱気は過ぎ去ったのかもしれない。

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