飲むだけで痩せられる?

胃を振動させる「ダイエット用カプセル」が開発中。ブタによる実験では効果アリ

Image:Zen Designer 1997/Shutterstock.com

科学者と技術者からなる研究チームが、ダイエット用の振動型摂取型生体電子刺激装置(Vibratory Ingestible BioElectronic Stimulator:VIBES)に関する実験結果をScience Advances誌に発表した。

VIBESは、一見するとただのカプセル薬だが、胃の中で溶けて吸収されるのではなく、カプセル内の機構によって振動し、胃が膨張してきたと感じる神経を刺激することで、満腹感を得られるようにする。

研究では、このカプセルを6頭のブタに与えての実験を行っている。そして、VIBESを摂取していないブタに比べて、摂取させたブタは40%ほどエサを食べる量が減少したとのことだ。

この研究に関わった生物医学に関する技術者らは、この結果がおおよそ予想どおりだったと評価しつつ、効果の一貫性に驚かされたという。また、VIBESカプセルを大量に服用したりしても、それに比例して体重が減るわけではないことにも注意が必要だとした。

Image:V. Fulford / Srinivasan et al.

この振動型減量カプセルの開発の主な着想の理由は、体重を管理するためのより良い方法を提供することだった。持続性GLP-1受容体作動薬のウゴービやGIP/GLP-1受容体作動薬のZepboundといった肥満治療薬は高価で、減らした体重を維持するためには注射を打ち続けなければならない場合がある。しかし、VIBESカプセルなら、いつ使うか、いつ使わないかを決めることができ、刺激の与え方をよりコントロールできるようになるのだと研究者は説明している。

ただ、VIBESにもまだ注意点はある。それは、振動による神経の刺激でいつまでも脳を騙し続けられるのかが不明なところだ。もし脳が、その刺激による満腹感が、どれだけ食べ物を摂取したかの信頼できる手がかりであるとの判断を変えた場合、このカプセル以外の対策が必要になる可能性がある。

とはいえこれは、非常に興味深い減量オプションであり、研究者らはこのカプセルが持つ可能性をさらに深く掘り下げて研究していくつもりだ。

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