トスする前が大事

コイントスの表裏は50:50ではない? 実際の確率は

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サッカーの試合でキックオフをするチームを決めるときなどに行われる「コイントス」は、二者択一で何らかの権利を決定する際に用いられる。これは「コインを投げ上げ、着地したときに表が上になるか、裏になるかは同じ確率である」と誰もが信じているからだ。

2007年には、スタンフォード大学の数学者ペルシ・ディアコニス氏がこの確率を検証し、約51%の確率で投げ上げ前に上面だった面が、トスの結果として出やすいと報告している。今回行われた新たな研究では、ディアコニス氏の研究よりも大規模な試行でディアコニス氏の研究を検証し、さらに厳密な確率として50.8%という数字が導き出された。

今回の研究におけるコイントスでは、48人が46か国で鋳造されたコインを使用した。これはコインのデザインによって生じるかもしれない、結果の偏りを防止するためだ。

そして、初期状態で上になる面をランダムに(またはアルゴリズムに基づいて)決定したうえでコインをトスし、それを手で掴み、手のひらの上に出た面を記録した。また試験の参加者は全員、コインをトスする模様をビデオに収めてアップロードすることで、判定方法の違いを吸収するようにしたという。参加者全員の合計試行回数は35万757回。研究者は「これにより、われわれのデータは一部の人々が公正にコインを投げたとき、コインが最初にどちらの面に着地する傾向があるかを強力に示している」と述べている。

もちろん、トスをする人によっては、出目の確率が大きく異なる場合がある。そのため論文でも「一部の人々はトスの前と同じ面が出る傾向がほとんどない(もしくはほとんどないように見える)ものの、ほかの人々には同じ面が出やすい傾向が、度合いが異なるにしてもあるようだ」とされている。ただ全体的な集計で見れば、トス前に上を向いていた面と同じ面が出る確率は50.8%に落ち着くことがわかった。これは四捨五入すれば、ディアコニス氏の約51%という研究結果に合致する値だ。

この結果でわかることは、一度のコイントスで物事を決めるのではなく、何度かの試行で結果を決める場合は、常にトスする前に上になっていた面を選べば、わずかに勝ちを得やすくなる可能性があるということだ。研究者は例として、1000回のコイントスで2人が1回あたり1ドルずつを賭けるとした場合、常にトス前に上を向いていた面に賭けさえしていれば最終的には平均19ドルを得ることができるだろうと述べている。

なお、トスする前のコインの状態を考慮しなければ、表と裏の出やすさに差は出なかったという。スポーツの審判員などをしていて、とにかく厳密にコイントスでの公平性を追求したいのであれば、最初のコインの状態が見えないようにすると良いかもしれない。