米国ではプライム年会費が2万円近いだけに

米FTC、消費者を騙す「ダークパターン」への訴訟でAmazon幹部らを被告に追加

Image:Silver Wings/Shutterstock.com

米FTC(連邦取引委員会)は今年6月、Amazonがダークパターン(ユーザーを騙して意図しない行動に誘導するデザイン)により何百万人もの消費者を同意なく有料サービスAmazonプライムに登録させたとして提訴していた。

そして20日(米現地時間)、FTCは修正した訴状を提出し、Amazonの幹部3人を被告に追加。彼らが消費者に不利な誘導や解約しづらさを社内で指摘されながら「問題なし」としていたと述べている。

当初の訴状では、Amazonが会計時に目立つようプライム加入のボタンを表示し、何百万人もの顧客を騙してプライムに加入させたと主張していた。

修正された訴状では、その主張を裏付ける社内メールや、このスキームで「重要な役割を果たした」当時の幹部3人の名前(ニール・リンゼイ上級副社長、ラッセル・グランディネッティ上級副社長、ジャミール・ガーニ副社長)などが追加されている。

FTCの訴状によれば、Amazonの従業員は2016年から、こうした戦略につき首脳陣に懸念を伝えていたものの、対策は講じられなかったという。

たとえば社内デザイナーはダークパターンの使用につき、リンゼイ氏に尋ねた。すると「問題ない」と回答され、「消費者が一度プライム会員になれば(たとえ無意識であっても)、それがいかに素晴らしいプログラムかを理解して、会員を続けるだろう」と説明されたそうだ。

また、社内ニュースレターには「プライム会員が手違いで登録される問題はよく知られている」ことや「誤って登録されたり、自動更新の条件が表示されなかったりする」ことを認めている記述があったという。

またFTCは、Amazonがわざと解約手続きを複雑にしたと主張。リンゼイ氏はそれをプライム入会手続きと同じくらい簡単にするアイデアを検討したことがあったが、(業績に悪影響を与えることが)「恐ろしい」と述べていたとのことだ。

近年FTCは、ダークパターンの取締りに注力を続けている。たとえば人気ゲーム「Fortnite」を開発・運営するEpic Gamesがユーザーを意図しない購入に導いたとして訴訟を起こし、5億2000万ドルの制裁金を支払わせていた。Amazonの提訴は、それに続くものだ。

日本でもAmazonプライム会員費は8月に値上げされたが、それでも月会費は600円、年会費は5,900円に留まる。それに対して米国では年会費が139ドル(約2万円)に達しており、苦情の多さもそれに比例していたのかもしれない。

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