Analogue Pocketは入手困難…

iPad+ゲームボーイ用ポケットカメラでFaceTimeビデオ通話を成功した猛者現る

Image:Federico Viticci

今年秋に正式配信されるiPadOS 17では、外部カメラをiPadのWebカメラとして使える機能が追加され、すでにベータ版でも利用できる。アップル純正のStudio Display内蔵カメラのみならず、UVC(USB Video Class)規格に準拠した全ての機器に対応している。

この新機能により、なんとゲームボーイ用ポケットカメラ(1998年発売)を使って、iPadでのFacebookビデオ通話をやり遂げた猛者が現れた。

あらゆる奇抜なことにチャレンジするFederico Viticci氏は、iPadOS 17でのUVCサポートは、映像の入力元としてゲームキャプチャーカードやデジタル一眼レフアダプタなど、あらゆる機器が使えることに気づいた。

手始めに試したのが、iPadをNintendo SwitchやSteam Deckの外付けディスプレイ化することだ。スイッチからの映像出力はGenki Covert Dock Miniを使い、Steam DeckにはValveの公式ドック、ゲームキャプチャー機器としてNZXTの製品を使ったという。これは見事に成功し、『ELDEN RING』等のゲームをiPadのFaceTimeに表示できた。

おそらく、「HDMI出力ができるUSB-Cドック」と「HDMI入力端子があるUSB-Cビデオキャプチャー機器」であれば、ほぼどれでも可能だろう。

もっとも、接続されたUVC機器からのビデオ入力を読み込むには、別途アプリが必要だ。まさにそれが、インディー開発者のJingcheng Tang氏が作った「UVC Viewer」(ベータ版)である。アップルのTestFlightでテスト公開されているが、現在は定員に達しており新規の利用はできない。

これに成功したViticci氏は、部屋にある携帯ゲーム機の棚を見て「ゲームボーイカメラを使おう」と思いついたという。どうやって使うかと言えば、レトロ携帯ゲーム機「Analogue Pocket」を経由して、である。

FPGA(回路を書き換えられるデバイス)を使ったAnalogue Pocketは、ゲームボーイとハードウェアレベルでの互換性があり、ポケットカメラを挿して動かすこともできる。そして本製品にはHDMI出力端子もあるため、キャプチャーカードやアプリにより「iPadの外付けカメラ」として認識・運用できるわけだ(キャプチャー機器については、上記とは別製品を使っているが)。

その結果、iPad Pro+ポケットカメラによるFaceTime通話に成功している。もちろん背景ぼかしやセンターフレームなどハードウェア依存の機能は使えないが、ハンドジェスチャーは認識し、風船やハートなどの3Dアニメは表示された。

Viticci氏がいう「これには何の意味もないし、普通の人がこれを使う必要はないだろう」とは全くその通りだ。それでも、20年以上の歳月を乗り越えて無改造のゲームボーイ用カメラがiPad Proとコラボできたことには不思議な感動がある。

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