やっぱり、非常に鮮明

ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した「環状星雲」の鮮やかな画像が公開

Image:ESA

M57またはNGC 6720と呼ばれる約2200光年の彼方にある環状星雲の様子を、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が捉えた。今回公開された2枚の画像は、この星雲をこれまでにないほど詳細に捉えている。

2枚の画像はそれぞれ、JWSTの主要なイメージセンサーであるNIRCamと、中赤外イメージング装置MIRIで撮影されたものだ。NIRCamは遠くの宇宙からの近赤外光を捉えて画像化するもので、JWSTが稼働した当初、世界的に話題になった「想像の柱」の撮影にも使用された。

Image:ESA

一方、MIRIで捉えた画像では、星雲の外縁部を超えてさらに拡がる同心円状の弧が、より鮮明に浮かび上がっているのが確認できる。これはおそらく中心の星と、軌道上にある低質量の伴星との相互作用によって形成されたものと考えられる。

Image:ESA

欧州宇宙機関(ESA)は、今回発表した写真のプレスリリースで「このように、環状星雲のような星雲は、天文学者が星雲を作った星について知るために星雲を研究するという、一種の天文学的考古学を明らかにする」と述べている。

この環状星雲は、JWSTが最初に撮影した「南の環状星雲(NGC 3132)」とは別のものである点には注意が必要だ。今回のM57は、これまでに発見された惑星状星雲の最も優れた例のひとつとされている。ただし、惑星状星雲と呼ばれはするものの、実際には惑星とは関係なく、死にゆく恒星の外殻から宇宙に拡がったガスと塵で形成された領域だ。M57はかなり球状に拡がり、中心星は太陽に似た星であると考えられている。

なお、この中心星はもうすぐ白色矮星になると考えられている。白色矮星は、恒星の進化における最終段階のひとつだ。死にゆく星はガスの外側の成分を周囲に放出していく。これが今回のJWSTの画像に見られる、環状星雲の鮮やかな「環(リング)」部分を形成している。

ESAは、「カラフルな主リングは、星雲の中心にある死にゆく星によって放出されたガスで構成されている。この星は白色矮星になる途中であり、太陽のような星の最終進化段階である非常に小さくて密度の高い、熱い天体になる予定だ」と述べている。

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