チートツールのサブスク業者も後を絶たず

『Call of Duty』、チーター排除をキルフィードでリアルタイム実況

オンラインでのマルチプレイは、反射神経や集中力など持てる全てを尽くして勝敗を争うことが醍醐味だ。しかし、安直に偽りの勝利を望むあまり、いわゆる「チーター」が後を絶たない。ゲームのバグを利用したり、プログラムを改変する “チート”(ズル)により、ルールをねじ曲げてプレイを台なしにしてしまうのだ。

そうした不正対策の1つとして『Call of Duty』のロビーにおいて、チーターがゲームから締め出されると通知されるようになる。キルフィード(誰がどうやって倒されたかという通知)の形であり、チーター狩りがリアルタイムで表示されるわけだ。

この新機能は、『Call of Duty: Modern Warfare II』のシーズン5と、『Call of Duty: Warzone 2.0』に追加されるものだ。

開発元のアクティビジョンは、数年前に「チーターお断り」と厳しい警告を発した後、チーター対策に注力してきた。その1つが「RICOCHET Anti-Cheat」システムである。PC版のチーターを捕捉するために設計されたカーネルレベルのドライバで、2021年に投入された。カーネルとは、コンピュータOSの根幹となる部分のことだ。

アンチチートシステムを投入する運営側と、それを掻い潜ろうと新たな手口を編み出すチーターの戦いは、現在進行中のイタチごっこだ。昨年4月にアクティビジョンは正規プレイヤーのキャラクターや弾丸を見えなくする「Cloaking(隠れ蓑)」ペナルティを課し、さらに、サードパーティ製のマウスコンバータなどをチートデバイスと見なして取り締まるようになった。

なぜ、マウスコンバータがチート扱いなのか。それはパッド操作の場合は精度がキーボード+マウスには敵わないため、公式にエイムアシスト(照準を付けやすくする)機能が働く。だが、マウスを使いながらパッド接続と認識を偽ることで、両方の恩恵を受けられることになるからだ。

こうしたチートデバイス対策は各社とも注力されており、たとえばUbisoftは『レインボーシックス シージ』にマウストラップを導入。「入力偽装装置」を検出されたプレイヤーは入力遅延が生じ、マウスとキーボードの使用が続くとラグは大きくなって思い通りにエイムできなくなる。

ゲーム開発者の中には、チートシステムの販売者を相手に訴訟に踏み切る者さえいる。何年もチーターに悩まされたBungieは、『Destiny 2』のチートソフト開発者や販売業者を訴えた。しかし、チートツールをサブスクリプション(定額制)で提供する業者も珍しくなくなり、巨額の利益を生み出す「ビジネス」として定着しているだけに、根絶は難しいのかもしれない。

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