ただし、学生が夏休みに入っただけとの見方も

ChatGPT、初めて全世界ユーザー数が減少に転じる。6月は前月比約10%減

Image:Tada Images/Shutterstock.com

AIチャットツールChatGPTの世界合計ユーザー数はこれまで順調に増加してきていたが、6月は初めて減少に転じたことがわかった。

マーケット分析企業のSimilarwebによると、ChatGPTの6月の全世界ユーザー数は前月比マイナス9.7%という数字になり、またアプリトラッカーSensor Towerの集計では、6月にはiPhoneアプリ版のダウンロード数も、月初にピークを打ってからは減少に転じているとのことだ。

現在のテキスト生成AIブームの火付け役になったChatGPTは、ビジネス文書の生成やコンピュータープログラムのコード生成、学生が何かを調べる際の参考文献の一種としての利用などに使われるようになった。

またAI活用を謳うビジネスが続々と現れており、ある意味「ジェネレーティブAI(生成AI)」と記しておけば誰でも少しは注目すると期待できるほどにバズワード化している。

一方で、AIが書き出す文章を過信した結果、ときおり勝手な思い込みで文章が書き出されるのに気づかず、チェックを怠ったままその文章を使用した結果、誤りが明るみに出て失敗するといった事例もちらほらと出てくるようになっている。

リリースから2か月で1億人(推定値)ものユーザーを獲得したとされるChatGPTだが、それから半年を超える時間が経過し、お試し需要が一巡したのかもしれない。またChatGPTが書き出す嘘情報にも触れ、その能力が誇張されて伝わっているのに気づいた人たちが増えてきたことが、もしかすると今回のユーザー人口減少の一因になっている可能性もある。

ChatGPTの登場を見てライバル製品を送り出したGoogleやマイクロソフトの幹部らは、急速に拡大する市場を見据えて、AIがコンピューティングにおける次の革命とし、デジタルの世界を大きく変えるとしきりに宣伝している。一方で各国の当局は、この技術を理解し、それが人々にとって害にならないようにするための規制を取り決めるために忙しくしている。

ただ、テキスト生成AIがウソをつく問題は、Google、マイクロソフト、そしてブームの火付け役であるOpenAIでさえもまだ克服できていない。生成AIの活用を考える企業でも、AIに機密情報を教えてしまうと、いつかどこかでポロリしてしまったり、誤情報を含む出力に気づかずに後で大変なことになる懸念を払拭できず、職場での利用を禁止しているケースもあるという。

また、たとえばプログラマーのなかには、生成AIのコーディング能力は低下していると主張する者もいる。こうした品質の維持や低下に関する問題に関して、OpenAIがAIボットの運用コストを下げているために発生していると推測するアナリストもいる。一方で、欧米の学期末の時期にさしかかりボットを使う学生が夏休みに入ったため、ユーザー数が減少したとの憶測もある。

Similarwebの数字によると、ユーザーが減少しているのはChatGPTに限った話ではなく、Microsoft Bing、Google Bard、Character.AIなどのデスクトップおよびモバイルウェブサイトを訪問する人も減少しているとのことだ。たとえばマイクロソフトではBing AIがリリースされた2月から3月までは急激に検索エンジンへのトラフィックが増加したが、以後はすぐ減少に転じ、いまではBingをAI技術で再構築する前の状況に戻っているという。

ちなみに、OpenAIのサム・アルトマンCEOは昨年12月、無料サービスのコストが「目を覆いたくなるほどのものだ」と述べていた。今回のユーザー数の減少は、CEOにしてみれば少し気休めになるもと言えるかもしれない。

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