ドリームハウスを完全再現

実写映画『バービー』、ピンクを使いすぎ全世界で塗料不足に

Image:Warner Bros. Pictures

バービー人形の実写映画『バービー』は、2023年8月11日(金)に日本でも公開予定だ。主演は『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』でハーレイ・クイン役が人気だったマーゴット・ロビー、ボーイフレンドのケン役には『ラ・ラ・ランド』などのライアン・ゴズリングが抜てきされている。特にマーゴットのバービーは、ハマリ役だと公開前から注目の的だ。

さらに公開が近づいて話題となっているのが、カラフルな「バービーランド」が写る予告編だ。玩具のドリームハウスそのままのビジュアルで、建物から道路に至るまでピンクで彩られている。これらがCG合成ではなく、実際にピンクの塗料を大量に使っているため、Rosco(娯楽産業向けソリューションを提供する企業)の塗料が全世界的に品薄になったことが明かされている。

米Architectural Digest誌の取材にグレタ・ガーウィグ監督は、バービーランドをピンクで染め上げた意図を「子供っぽさを守ることが最も重要だったから」と語っている。「ピンクはとても鮮明で、全てが過剰になるぐらいにしたかった」とのこと。その結果、Rosco製のピンクの蛍光色が全世界で品不足になったというのだ。

このセットはパームスプリングス(米カリフォルニアのリゾート地)、特にミッドナイトセンチュリーモダン様式(20世紀半ばに米国を中心にデザインされた家具や建築)や建築家リチャード・ノイトラ氏らのデザインにインスパイアされたという。

それを元に、英国のプロダクションデザイナーであるサラ・グリーンウッドとセットデコレーターのケイティ・スペンサー(2人は『プライドと偏見』『アンナ・カレーニナ』でも協力)が指揮を執り、今まで観たことがない舞台セットが誕生した。

ドリームハウスは壁もドアもなく、ピンク一色のリビングがプールに面しているというもの。それまでバービーで遊んだことがなかったため、ガーウィグ監督らはドリームハウスの実物をAmazonで発注して勉強したという。

独特なスケール感に興味を持ったことから、部屋を人間のサイズより23%小さくし、天井が頭のすぐ近くにあり、俳優がその空間では大きく見えながら、全体としては小さく見える不思議な効果を狙ったそうだ。

それにしても、なぜCGではなく、実物の舞台セットを作ったのか。ガーウィグ監督は「文字通り、バービー・ランドの別世界を創造した」と語る。「本物の人工物」を目指すため、空とサンジャシント山脈(パームスプリングスの近くにある)も手描きの背景を使ったとのこと。「おもちゃは、何よりも触れるものだから」という信念のもと、全世界のピンク塗料を使い果たした成果を、劇場の大スクリーンで鑑賞したいところだ。