2代目Cortana?
Windows 11に“AIを統合”する「Windows Copilot」発表。システム設定も対話形式で
マイクロソフトは年次開発者会議「Microsoft Build」にて、Windows 11にAIチャット機能を統合する「Windows Copilot」を発表した。
Windows 11のタスクバーから開いて使うことができ、設定からEdgeブラウザー、Officeアプリ、さらに全てのマイクロソフト製アプリとプログラムで利用可能になるという。パブリックテストを6月に開始し、その後に一般ユーザー向けに展開する予定とのことだ。
同社のWindowsとデバイスの責任者であるパノス・パネイ氏は「Windows Copilotのサイドバーは、一度開くと、アプリやプログラム、ウィンドウで一貫して使用でき、常にパーソナルアシスタントとして機能する」と説明している。すべてのユーザーをパワーユーザーに変え、アクションを起こしたり、設定をカスタマイズしたり、お気に入りのアプリをシームレスに連携させる支援をするとのことだ。
公開されたイメージ動画では、画面下のタスクバーにボタンが1つ追加されている。既存の検索バーを置き換えることなく、かつてWindows 10に独立したCortanaボタンが設けられていたのと同様だ。あちらもAIアシスタントの一種だっただけに、新旧交代の印象がある。
またマイクロソフトは、Windows Copilotを「パーソナルアシスタント」と呼んでいるが、これもCortanaを「パーソナル生産性アシスタント」と表現したのと似通っている。
新たなAIボタンをクリックすると、画面右側にBing Chatのような会話ボックスが出現する。一般的な質問をしたり、検索エンジン代わりにすることも可能だ。
だが、Windowsに統合されていることから「どうすれば仕事がしやすいようにシステムを調整できる?」と尋ねると、フォーカスセッションやダークテーマなどが次々と提示。それぞれの設定を有効にするか?と聞かれ、Yesをクリックするだけで設定ができる。AIとの会話がWindows上でのアクションに直結し、ユーザーに深い知識がなくともパワーユーザーのように振るまえるわけだ。
さらにアプリで開いているコンテンツの要約や書き換え、説明を頼むことができるほか、仕事にあったいい音楽はないか?と訊くと、Spotifyのお勧めプレイリストを複数提されてすぐにアプリで聴ける。仕事仲間に送る前に写真アプリを起動して編集させたりと、複数のアプリにまたがったシームレスな「バーチャルアシスタント」ぶりだ。
また、Windows CopilotはBing Chatと同じく、OpenAIのChatGPT用プラグインをサポートする予定だという。つまり開発者がChatGPTやBing向けに作成した新機能が、そのままWindows Copilotに引き継がれることになる。
今年初めにパネイ氏は「AIはWindows上でのすべての操作を再発明する」と主張していた。それは次期「Windows 12」になると誰もが予想していたが、早くもWindows 11世代で野望を推し進めるようだ。
現状のWindows Copilotはテキストベースだが、パネイ氏は将来的に音声アシスタントに進化することも仄めかしていた。かたや、あらゆるAIチャットボットに共通する機密情報の漏えいや誤情報のリスクについては「ご指摘の通り、人々の安全とプライバシーの両方を優先させる必要がある」とコメントしている。
マイクロソフトのBing検索エンジンは、AIチャットボットを組み込んだことで1億人のデイリーアクティブユーザーを達成した。それでも、現在のシェアは7%強に留まっているという調査データもある。
しかし2022年1月時点で、Windows 10または11が動く月間アクティブデバイスは14億台を超えている。Windows Copilotが実装された際には、Bingよりもはるかに大きなインパクトがありそうだ。