核融合炉の研究は各国で進められています
マイクロソフトが「核融合エネルギー」購入をHelionと契約。2028年から供給開始
クリーンエネルギー企業として、商業用核融合炉による電力販売を計画しているHelion Energyが、初の顧客としてマイクロソフトと契約を結んだと発表した。電力供給は2028年に開始する予定。
核融合は廃棄物がほとんど出ず、放射能のリスクも低いため、半世紀以上にわたって次世代のエネルギーとしての可能性が研究されてきた。しかし、太陽と同じ原理で発生するエネルギーを御するには、それ以上に大きなエネルギーが必要になり、実用化が非常に難しい。
Helionは10年以上をかけて核融合技術の開発に取り組んできた。実用化に向けこれまでに6基の試作炉を開発しており、2024年の7基目でそのエネルギー生産能力を実証することを計画している。そして、2028年を目標とする電力供給の開始が実現すれば、50MW以上の発電能力を発揮する見込みとなる。
二酸化炭素の排出や有毒廃棄物のない、ほとんど無限のエネルギー源が現実に一歩近づいたという可能性は、非常にエキサイティングであり、地球にとっても重要なことだ。
核融合は、陽子と中性子が1つずつ結合した「重水素」の原子核と、重水素に中性子を1つ加えたトリチウムの原子核を衝突させたときに起こる反応だ。非常に大きなエネルギーを伴ってヘリウム原子核と中性子1つを生成するため、取り出した中性子の運動エネルギーを熱エネルギーに変換して蒸気を作り出すことで、タービンを回して発電に利用する。
マイクロソフトのブラッド スミス副会長兼社長は「われわれは、核融合エネルギーが世界のクリーンエネルギー移行を後押しする重要な技術になる可能性に関して楽観的である」と述べている。そしてHelionとの契約について、「(マイクロソフトの)長期的なクリーン エネルギー目標をサポートし、より多くのクリーン エネルギーを迅速に送電網に導入する、新しい効率的な方法を確立すべく市場を促進するだろう」とコメントを寄せている。
ちなみに、Helion Energyを支援する個人投資家には、OpenAIのサム・アルトマン氏や、Facebookの共同創業者ダスティン・モスコヴィッツ氏、 “PayPalマフィア” のひとりであるリード・ホフマン氏が名を連ねている。またピーター・ティール氏が設立した投資会社Mithrilをはじめ、複数の企業が投資している。
- Source: Helion Energy(1) (2)
- via: TechCrunch