いつまで大量解雇を避けられるのか
アップル、ごく少数ながら初めて正社員を一時解雇との報道
IT大手の大幅なレイオフ(一時解雇)が相次いでいる状況下で、アップルについては、そうした噂が聞こえて来なかった。それは他社より収益性が高く莫大な資金を抱えていることや、レイオフによるイメージダウンや経済への悪影響を避けるためとの観測もあった。
しかし同社が、ごく限られた規模ではあるが、正社員の解雇を計画しているとBloombergが報じている。
アップルの内情に詳しいMark Gurman記者によれば、アップルは開発・保全チームに属する法人向け小売店従業員をわずかに減らす予定とのことだ。レイオフ対象となる従業員は、全世界的なアップル直営店の建設と維持管理を担当しているという。
Bloombergは削減の規模について「おそらく非常に小さい」と報じているが、それでもアップルが正社員を減らすと報じられたのは初めてのことだ。たとえば昨年6月に、採用を担当する最大100人の契約社員を解雇したものの、契約社員はフルタイムの正社員ではない。
しかし、アップルは社内向けには、これはレイオフではなく合理化であり、今回の措置は世界各地にあるストアの維持管理を改善することが狙いだと述べているという。整理対象となった人には前職と同様の職を得られる選択肢があり、それを選ばない人は最大で4ヶ月分の給与を得られるとのことだ。
アップルは11月に、研究開発以外のほとんどの職種で採用を一時停止し、今年3月には採用凍結を拡大するとともに、一部従業員のボーナス支払いを延期しているとも報じられていた。
さらに多くのチームで、社員が退職してもポジションは空けたまま、新規に採用しないことで、IT他社のような大規模レイオフを避けられたわけだ。
Twitterはイーロン・マスク氏による買収後に数千人の従業員を解雇し、Metaは11月に1万1000人を解雇したことに続き、約1万人を削減すると発表している。Googleの親会社であるAlphabetも1万2000人を解雇し、Googleも社員向けの機材やアメニティ費用を節約していると報じられた。
アップルがいつまで大量解雇せずに持ちこたえるか、現時点では予想ができない。もしも踏み切った場合は、世界経済に衝撃が走るかもしれない。