岐阜県では4割近くが誤通報
iPhone 14の「スキーで緊急誤報」が日本でも問題に
最新のiPhone 14シリーズやApple Watchには、自動車衝突事故にあった場合に救急通報する「衝突検出」が追加されている。人命を守るためには重要な機能だが、一方でジェットコースターに乗っているだけで作動したり、スキーを衝突事故と誤解して緊急通報を行うなどの問題が、たびたび報道されてきた。そしてこの問題は日本でも同様に起こっており、119番通報に負荷を与えていると報じられている。
総務省消防庁は今月20日、「スマートフォンから自動で119番を発信する機能に関する注意喚起について」というお知らせを掲載。具体的な機種名の記載はないものの、「近年発売されたスマートフォンには、車が激しい衝撃を受けた場合に車内のスマートフォンが衝突事故を検出する機能が搭載」とあり、iPhoneを示していることがわかる。同庁は「スキーシーズンに入り、スマートフォンの所有者による意図しない発信が相次いでいる」と注意喚起している。
読売新聞では具体的な数字を報じており、白馬村など長野県の5市町村を管轄する北アルプス広域消防本部では約1ヶ月で134件、岐阜県の郡上市消防本部では今月1〜23日で、受理した351件の119番のうち、135件が同様の誤報だったという。岐阜県の例では4割近くが誤報だったことになる。
iPhoneが衝突を検知した際には、通知が表示され、20秒間のキャンセルするための時間が設けられている。しかし米テック系メディアWccftechは、両手でストックを握っているスキーでは難しい場合があると指摘しており、やはり抜本的なソフトウェアの改善は不可欠だろう。
アップルは昨年11月下旬にiOS 16.1.2を、12月中旬にApple Watch向けのwatchOS 9.2をリリースしており、衝突検知を最適化したとしている。しかし12月下旬から現在にかけて誤報が続いているとすれば、まだ誤通報の抑制効果はいまひとつと言えそうだ。
もし誤った検出で119番が発信されてしまった場合について、消防庁では「電話を切らずに『間違えた』」と伝えるようアナウンスしている。また衝突検出は初期設定でオンになっており、オフにすることも可能だが、安全のため、Wccftechも基本的にはオンのまま使うことを推奨している。なお現在の設定状況は、iPhone 14シリーズでは「設定」→[緊急 SOS]→[激しい衝突事故発生後に電話]から確認できる。