「WiiからWii U」の失敗があるだけに

「Nintendo Switch Pro」開発は打ち切り?“真の後継モデル” に注力か

Image:Proxima Studio/Shutterstock.com

Nintendo Switch(以下、Switch)の強化型モデル、いわゆる「Switch Pro」の噂話は何度も囁かれてきたが、任天堂はそのたびに否定を繰り返している。とはいえ、Switchも発売から6年目を迎えているだけに、社内で後継モデルの開発を進めていない方が不自然ではある。

そんななか、ゲームグラフィックスの詳細な解析で知られるDigital Foundry社のジョン・リンネマン氏が、実際に「Switch Pro」は開発されていたものの、現在では中止されたとの観測を述べている。

リンネマン氏は2022年を総括するポッドキャストで、何人かの開発者との会話に基づきSwitch Proのことを語っている。氏によれば、ある時点でSwitchの「中間世代」(次世代機までのつなぎとなる強化型)のアップデートが計画されていたものの、「それはもはや、打ち切られたようだ」という。

その代わりに、“真の後継機” を追求しているとのことだ。もっとも、発売は「2023年になるとは思わない」とも付け加えられている。

Switch Proの噂話は、2021年初めにまでさかのぼる。まず海外ゲームフォーラムResetEraにて、Tegra X1の後継SoCを採用し、ハンドヘルドモード/ドッキングモードにも対応。本体には有機EL画面が搭載され、ドックに挿したときだけ4K解像度がサポートされるとの観測が伝えられていた

ちなみに現行のSwitch全モデルに搭載された「Tegra X1」は、NVIDIAが2015年初めに発表したSoCである。このチップはAndroid TVゲーム機「SHIELD」や車載システム等に採用されたものの、売れ行きが芳しくなかったために、余剰チップを任天堂が安く買い付けたとの憶測もあった(正確には「カスタマイズ版」であり完全に同一のチップではないが)。

さらにリンネマン氏は個人的な見解として、任天堂の過去ハードを考えると、Switchの次世代ハードへの移行には神経質になっている可能性が高い、と述べている。

たとえば「ゲームキューブ」があまり上手く行かなかった後に、「Wii」は1億台以上も売れた。が、その次の「Wii U」は、任天堂史上最も売れなかったハードの1つとなった(公式に1,356万台と数字を明かしている )。そしてSwitchで再び盛り返し、過去最高の売上を記録……という具合に、ここ10年ほどは「山高ければ谷深し」のパターンを繰り返している。

今年7月にはSwitchの新モデルが現行のカートリッジに対応し、同じブランドとフォームファクタを維持するとの噂もあった。それは中間世代機のことと思われるが、「真の次世代機」も保険を掛けるためにSwitchの互換性を維持する可能性は高いのかもしれない。

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