54年に渡った生産が終了
ボーイング747最後の1機が工場から出荷。貨物機として来年就航へ
1970年1月にパンナム航空がニューヨーク~ロンドン便として就航させて以来、快適かつ長距離におよぶ空の旅を一般大衆にもたらした「ジャンボ」ことボーイング747が、54年間つづいた製造を終え、最後の1機が工場を後にした。最後の機体は「747-8F(フレイター)」で、貨物航空会社のアトラス航空へ来年初頭に納入される予定だ。
これまでに生産された747は1,574機におよび、最終型となる747-8は、いまも就航している民間航空機のなかで最長の大きさを誇っている。また、アトラス航空に収められた747-8Fは最大積載量133.1トンとなり、ボーイングは金塊1万699個、またはピンポン球約1,900万個を輸送することができると説明している(が、正直どっちもわかりにくい)。
747は、1度のフライトでたくさんの人を運ぶことができれば、航空運賃をより引き下げることができるという発想のもとで生まれた。そしてそれは、中産階級の旅行者にとっては空の旅を身近にするものとなった。日本では1970年4月22日に日本航空が導入され、それまで主力だったダグラスDC-8の約3倍の人員を一度に輸送可能となり、大量輸送の時代をもたらした。ちなみにこの機体は、羽田~ハワイ~ロサンゼルス路線に就航した。
カスタムの種類にもよるものの、747の広々とした機内では足を伸ばしてくつろげる座席や、螺旋階段を上った先にラウンジバーが設置されたバージョンがあり、各航空会社が独自の工夫を凝らしたラウンジを作ったという。
貨物仕様では、機首を上に跳ね上げるように開き、前方から積荷を搭載することができるといった独特の設計が採用されている。また、スペースシャトル・オービターを輸送するためのバージョンなどもあった。米国大統領専用機エアフォース・ワンも、747-200をベースとしている。
一時代を築いた747だが、時代は移り変わり、航空業界は近年、787ドリームライナーのような小型で低燃費な双発ジェットが求められるようになってきた。747は最終型の747-8の開発が遅れたことで予算超過となり、2016年以降は赤字での生産だったとも言われている。ボーイングは、今後も747のサポート・メンテナンスをライフサイクル終了まで提供するとしている。
ちなみに、米国政府は旅客型の747-8Iを新しいエアフォース・ワンとして導入する予定だが、これは製造後に納入先の破綻によって宙に浮いた在庫品を流用している。現在は、内装などの装備を現行の大統領機(747-200)と同様にする改修が行われているとのことだ。