物理ソフトには破損・盗難リスクあり
40年かけNESソフト860本超盗まれる。「全作コンプまであと3本(本人談)」

先日、ソニーが2028年1月以降にPlayStation向けに発売する新作ゲームの物理ディスク生産を終了すると発表したことで、「ゲームの物理メディア」の重要性が改めて注目された感がある。ダウンロード版タイトルがオンラインストアから削除されたり、アクセス不能になったりした場合でも、物理版であればプレイし続けられる可能性があるからだ。その反面、破損や紛失、盗難など、実体を持つがゆえのリスクもある。
それを身をもって示すような事件が起きた。先週、米ワシントン州在住のロジャー・ホラー(Roger Holler)氏が家族旅行中に自宅へ侵入され、NES(米国版ファミコン)のゲーム860本超が盗まれたと、地元テレビ局KING 5が報じている。
ホラー氏が帰宅すると、自宅に何者かが侵入し、同氏が40年近くにわたって収集してきたゲームを保管していた棚が空になっていたという。本人いわく、NESの全ライブラリ完成まであと3本というところまで来ていたとのことだ。
これらのゲームは、ホラー氏にとって単なるコレクション以上の思い出が詰まったものだった。11歳のとき、母親から初めてNES本体をプレゼントされたことをきっかけにゲーム収集を始め、ワシントン州内の店舗やゲームコンベンションを巡り続けてきたという。長い歳月を経て、この趣味は息子を含む家族と共に楽しむものになっていった。
ホラー氏は、このコレクションを孫たちに譲り、いずれ大学の学費を賄う助けになればと考えていたという。本人はその価値を5万〜10万ドルと見積もっているが、専門鑑定機関や第三者による査定を受けていたかどうかは不明である。
息子のクリス・スターリング(Chris Sterling)氏は、ゲームを探す父親に付き添いながら育ったと語っている。「ほぼ生涯をかけて集めたコレクションが根こそぎ奪われるのを見るのは、胸が張り裂ける思いだ」とのことだ。
米国でNESが発売されてから40年以上が経った現在、一部のNESソフトはゲーム関連のコレクターズアイテムとして非常な高値が付いている。今年6月には、未開封の『スーパーマリオブラザーズ』がHeritage Auctionsで過去最高となる300万ドルで落札された。ただし、この個体は希少な初期生産版で、グロス(光沢)ステッカーを備え、完璧に近い保存状態だったことなど、複数の条件が重なったものだ。古いカートリッジであれば、無条件にプレミアム価格が付くわけではない。
今回の一件は、物理メディアがダウンロードソフトのように提供企業の事情に左右されにくい一方で、実体を持つ財産である以上、盗難など他人の悪意から守る難しさがあることを示している。
すでに「レトロゲームはひと財産になる場合もある」と広く報じられているだけに、貴重なゲームカセットなどをコレクションしているのなら、少なくとも「自宅に保管している」といった情報を不用意に漏らさない方がよさそうだ。
