日本版スーパーマリオでは無理そう

40年眠っていた『スーパーマリオ』4.8億円で落札。史上最高額を更新した理由

多根清史

Image:HE Photography/Shutterstock.com

2026年6月12日、Heritage Auctionsのオンラインオークションにて、NES(海外版ファミコン)版『スーパーマリオブラザーズ』の未開封品が300万ドル(約4億8000万円)で落札された。2021年に記録された200万ドルを100万ドルも上回り、ゲームソフト単体としての史上最高額を大幅に更新した形である。

この個体は数か月前、未開封のNES本体セットの箱の中から発見されたもので、約40年間まったく手を触れられていなかった。落札者はNES本体とセットで受け取ることになる。

Heritage Auctionsによれば、これまでの『スーパーマリオブラザーズ』の最高額は、2021年に行われた200万ドルのプライベートセール(オークションを経由しない個人売買)だった。その数か月前には別のカートリッジが66万ドルで落札され、当時としてはゲーム関連コレクションの史上最高額を記録していた。

今回これほどの高額で落札された理由は、完璧に近い保存状態だけではない。米国で発売された希少な第2生産ロットに属していることも大きい。

1985年10月、任天堂は米国でテストマーケット向けにNES版『スーパーマリオブラザーズ』の第1生産ロットを発売した。まず一部都市で販売し、その反応を見たうえで、1986年初頭に第2生産ロットをより多くの都市へ展開したという流れである。

このテストマーケット向けの第1生産ロットと第2生産ロットは、その後主流となったプラスチック製シュリンクラップではなく、紙箱をシールで封印する特殊なパッケージで流通していた。このシールにはマット(非光沢)版とグロス(光沢)版の2種類があり、マット版が第1生産ロット、グロス版が第2生産ロットに使われている。

このうち、マットステッカー付き未開封品の現存は確認されていない。一方で、今回落札されたグロスステッカー付き未開封品は、確認されている3個体目という背景がある。

さらに、この落札品は現存するグロスステッカー付き第2生産ロットの中でも最高品質とされ、収集品鑑定機関「PSA」から9.6 A++という高評価を獲得している。残る2点はVGA 80とWata 9.4 A++であり、評価面でも明らかに抜きんでている。また、グロスステッカー付き第2生産ロット品が公開オークションに出品されたのは今回が初めてとされる。加えて、1987年に廃止された段ボール製の吊り下げタブも備えている。

こうした高額落札は、米国版NES『スーパーマリオブラザーズ』が持つ「極端に少ないテストマーケット向け初期ロット」「特殊パッケージ」「ほぼ完璧な状態の未開封品」という複数の条件が重なった結果である。

一方、日本版『スーパーマリオブラザーズ』は発売当初から大量生産・大量販売されており、パッケージの細かなバリエーションも少ない。未使用に近い個体そのものもNES版ほどの希少性はなく、今回のような超高額取引を支える条件が揃いにくい事情がある。

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