TSMCもAIデータセンター向けチップ製造を優先している可能性

アップルCEO、iPhone・iPad・Macの供給悪化を警告。メモリ不足も懸念

多根清史

Image:Jakob Berg/Shutterstock.com

アップルのティム・クックCEOは、2026年第3四半期決算説明会で、9月四半期にはiPhone、iPad、Macの供給制約が大きく悪化するとの見通しを示した。

同氏は、要因について単純な部材不足ではなく、想定を上回る需要と、それを吸収しきれないサプライチェーンの柔軟性不足にあると説明した。特にiPhoneとMacの販売は予想を大きく上回っているという。

ただし、この説明は額面通りに受け取りにくい。Appleシリコンを製造するTSMCでは、AIデータセンター向けの先端チップ需要が強く、アップル向けの製造キャパシティが相対的に圧迫されている可能性があるためだ。クック氏は、TSMCからの供給制約を直接名指ししたわけではないが、より広い意味での先端製造能力の制約が背景にあるとみるのが自然だ。

クック氏はメモリ不足についても言及した。アップルは6月四半期に前四半期より高いメモリ価格を支払っており、9月四半期にはさらに高いメモリコストを負担する見込みだという。同社はコスト上昇を2つの方法で部分的に相殺できると見込んでいるものの、メモリは引き続き大きな課題になるとしている。

1つ目は、9月四半期には持ち越し在庫の恩恵を受けられることである。ただし、この恩恵は9月四半期以降、時間の経過とともに縮小していく見通しだ。2つ目は、一部のメモリ以外の部品についてコスト低下を見込んでいることである。一方で、9月以降もメモリの市場価格は上昇を続け、事業への影響はさらに大きくなるとの見方を示した。

また、クック氏はDRAM市場には供給元が3社しか存在しないと指摘した。供給元が増えれば望ましく、供給面だけでなく、おそらく価格面でも同社にとって助けになるとの考えを示している。ただし、価格面については不透明であり、少なくとも供給面では改善が期待できるとして、アップルは「あらゆる選択肢」を検討していると述べた。

ここでいう「あらゆる選択肢」とは、米国防総省のブラックリストに登録されている中国メモリメーカーCXMTを指している可能性もある。また、「価格面については不透明」との発言は、CXMTが強気な価格を提示していることを示唆しているのかもしれない。

アップルは9月に新型iPhoneシリーズを発表する予定で、「iPhone 18 Pro」「iPhone 18 Pro Max」、そして同社初の折りたたみiPhoneが含まれる見込みである。このうち折りたたみiPhoneは初期生産台数が限られるとみられ、発売直後は品薄となり、入手が難しくなるとの予想もある。

関連キーワード: