メモリ価格が上がりすぎると新規プレイヤーを招くリスク

SKグループ会長、メモリ高騰に危機感。供給拡大訴え

多根清史

Image:Piotr Swat/Shutterstock.com

SK hynixを傘下に持つSKグループの崔泰源(Chey Tae-won)会長は、現在のメモリ半導体価格は「異常に高い」水準にあり、半導体業界のためにも供給を増やし、価格を引き下げる措置を講じる必要があると述べている。

朝鮮日報(The Chosun Daily)によると、崔氏は、PCやスマートフォンメーカーは半導体価格の上昇分を製品価格へ転嫁せざるを得ない一方、こうした製品の顧客の多くは個人であるため、値上げには限界があると説明。チップ価格の上昇が完成品コストを押し上げる「チップフレーション(chipflation)」を防ぐには、メモリ供給を増やす必要があるという。さらに、生産能力を拡大するため、米国でメモリチップ工場の建設を検討していることも明らかにした。

同氏は、半導体価格の高止まりが、韓国の半導体企業にも打撃を与える可能性があると警告している。高収益に惹かれて新規プレイヤーが参入したり、中小メーカーが勢力を拡大して既存大手に挑戦したりする機会を生み出すためだ。

実際、CorsairやLenovoなどは、中国のCXMTやYMTC製チップの採用を進めている。さらにアップルも、CXMTからメモリを調達するため、米トランプ政権に許可を求めていると報じられていた。

このほか崔氏は、イーロン・マスク氏が独自の半導体工場建設に関心を示していることも、既存のメモリ半導体企業に対する潜在的な脅威として挙げた。

もっとも現時点では、これは大きな問題にはなっていない。AI向け需要が極めて旺盛で、大手企業、新規参入企業の双方にとって受け切れないほどの需要が存在するためだ。

しかし、いずれメモリ市況が再びバストサイクル(好況で価格が上がりすぎた後、供給過剰や需要減速によって価格や利益が急落する循環)に入れば、プレイヤーが増えた市場で顧客獲得競争は一段と激しくなる。その結果、各社が生き残りながら成長を続けることは、これまで以上に難しくなるかもしれない。

関連キーワード: