学区には割引価格で提供、宣伝がねらい?
元ラブドール企業、AIロボット教師を学校へ。米学区で500人対象に実験

ラブドール製造会社をルーツに持つ企業が、AI搭載のヒューマノイド教育ロボットを米ニューヨーク州の学区に導入する計画を進めているとして、物議を醸している。
Realbotixは、もともと暗号資産企業Tokens.comとして設立・活動していたが、2024年に性的用途のラブドール「RealDoll」を製造するAbyss Creationsの親会社Simulacraを買収。社名を変更し、AI搭載ヒューマノイドロボット企業へ転身した経緯がある。RealDollは「超リアル」を売りとし、取り外し可能な顔や局部を備え、人間の体と同じ「質感」を持つとうたっていた。
現在のRealbotixは、「超リアルなヒューマノイドロボットとコンパニオンAI」に全面的に注力しており、その一環として「AI駆動のヒューマノイドロボットを地方の学校でSTEM教育に活用する」と主張している。
同社はAIティーチングアシスタント兼家庭用チューターのプラットフォーム「Optio」を開発した。学区承認カリキュラムに基づいて学習したアバターが、生徒ごとにパーソナライズされた指導や概念の定着、多言語での宿題サポート、24時間365日の学習支援を提供するという。これは実体を持たないソフトウェアであり、生徒はブラウザやノートPCから利用する。
さらに、このOptioを教室に常設する女性型ロボット「Sally」と組み合わせる。茶色の髪とシリコン製の肌を持つSallyは、「自然な会話、表情、リアルタイムの対話を通じて、魅力的で体験型の学習を実現する」と説明されている。腰から下は動かないフルボディ構成で、上半身の動きや表情に重点を置いた設計である。
そのため、自力で歩き回ることはできず、教室の椅子に座ったまま子どもたちと直接対話することになる。米New York Focusによれば、Sallyに搭載されたAIは、過去に子どもたちと交わした会話を記憶し、翌日以降もその続きを話せるという。
試験導入の舞台となるのは、ニューヨーク州カタラウガス郡のセネカ族保留地内に位置するサラマンカ市学区である。人口5929人の地域で、今年秋から約500人の生徒を対象に導入される予定だ。
サラマンカ学区の教育長は、「多くの学校はAIを単純に禁止するという安易な解決策を取っている。しかし私は、生徒たちは学校が設ける規則のほとんどを回避する方法を見つけると考えている」と語っている。
一方、Realbotixは学区から5万7590ドルの対価を受け取る。この地域の世帯所得中央値は3万996ドルで、貧困率は22.2%である。もっとも、RealbotixのCEOであるAndrew Kiguel氏は、通常価格9万5000ドルから値引きした価格だと説明している。
Realbotixは、この秋に500人の生徒を対象として行うサラマンカでの試験を「最初の導入事例」と位置付け、大規模展開の第一歩になると主張している。
この取り組みは、米国やEUなどで子どもをSNSやAIコンパニオンから遠ざけようとする流れが強まるなかで実施されるものだ。さらに、ラブドールと深い関わりを持つ企業が開発したロボットが教室に持ち込まれることから、さまざまな波紋を呼びそうである。
- Source: New York Focus
- via: Kotaku
