4月には44%がAI生成楽曲に

無料「AI生成音楽検出ツール」をDeezerがリリース。SpotifyやApple Musicにも使える

Munenori Taniguchi

Image:Deezer

ここ最近、音楽ストリーミングサービスを悩ませる問題として、AIによって生成された音楽が大量にアップロードされる現象が報じられるようになってきた。

たとえばSpotifyは昨年9月に、それまでの1年間で同サービスにアップロードされたAI生成によるスパム的な7500万もの楽曲を削除したと発表した。そして、「AIツールによって誰でも簡単に大量の音楽を生成できるようになったため、大量アップロード、重複投稿、SEOハッキング、意図的に短くした楽曲の悪用、その他の不正行為といったスパム戦術が悪用されやすくなっている」と述べている。

だが2026年現在も、多くの音楽ストリーミングサービスは、AI生成音楽の自動検出ツールを導入していない。そこで、ストリーミングサービスのDeezerは自らこの問題に取り組むことにした。

日本ではあまり知られていないかもしれないが、Deezerは早くから音楽ストリーミングサービスを展開してきた企業のひとつで、日本国内では他社に先駆けて2018年からCDと同等のロスレス音質でのストリーミング配信を導入したことで知られている。

しかし、そのDeezerにとってもAI生成の楽曲は頭痛の種であり、2025年4月には新規アップロード全体の18%が、さらに2026年4月には44%がAI生成楽曲で占められるようになったと発表している。

Deezerは6月11日、AI生成音楽の蔓延問題に対処するための継続的な取り組みの一環として、様々なストリーミングプラットフォームのプレイリストをスキャンし、AI生成トラックを特定することが可能な無料ツールをリリースしたと発表した。

このオンラインAI音楽検出ツールは27か国語に対応しており、主要な20の音楽ストリーミングサービスのユーザーが、自身のプレイリストにAI生成曲が含まれているかどうかを確認できるという。

Apple MusicやSpotifyといったライバルサービスは、いまだAI生成楽曲にタグを付与する程度の対策しか施していない。だが、Deezerの無料ツールは、同サービス内ではアルゴリズムがレコメンドしてくる楽曲からAI生成楽曲を積極的に除外し、編集プレイリストからも排除する能力を備える。

今回はその機能の一部を、競合するSpotify、Apple Music、SoundCloud、YouTube Musicなどのプラットフォームに対しても提供し始めた格好となる。

この新しいツールを利用するには、DeezerのAI音楽検出ツールのウェブサイトにアクセスし、利用しているストリーミングサービスを選択して、Deezerによるプレイリストへのアクセスを許可する必要がある。プレイリストがインポートされると、DeezerのサービスがAI生成コンテンツをスキャンし、検出された場合はユーザーへの通知とともに、検出結果を共有するオプションを提供する。

Image:Deezer

Deezerによると、現在同サービスには1日あたり約7万5000ものAI生成楽曲がアップロードされており、月間では200万曲以上に達するという。だが、大量の流入にもかかわらず、AI生成音楽の再生率は高くはなく、総再生回数のわずか1~3%を占めるに過ぎない。

しかし同サービスは、2025年にはAIが完全に生成した楽曲によるストリーミング再生回数の最大85%が不正なものであったことを発見しており、AI生成音楽がアップロードされる主な目的は不正行為であることは明らかだとしている。そして現在、これらの楽曲の再生回数の約85%は不正としてフラグが立てられ、プラットフォームによって収益化が停止されているとDeezerは述べている。

音楽リスナーの間で、好きこのんでAI生成の楽曲を聴いている人がどれぐらいいるかはわからないが、単にBGMとして、おすすめされるプレイリストを流しているような場合には、そこに紛れ込んだAI生成の楽曲を何度も耳にしているかもしれない。

そうしたAI生成の楽曲が、自ら作曲し演奏して活動しているアーティストらの、著作権保護された音源の無断使用で強化学習され、さらにアーティストらが再生回数から得る収益をも削りとっていると考えると、やはり人による創作や表現を含まないAI生成楽曲には、さらなる対策の強化が必要と言えそうだ。

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