独自のツールでAI生成楽曲を判別し、タグ付けします

Deezer、アップロードされる楽曲の44%がAI生成と発表。ただし大半が不正判定で収益化停止

Munenori Taniguchi

Image:Deezer

音楽ストリーミングのDeezerが、現在、1日にアップロードされる楽曲の44%がAI生成によるものになっていることを明らかにした。楽曲数で言えば1日あたり約7万5000曲、1か月あたり200万曲以上のAI生成楽曲がアップロードされている計算になる。

Deezerは2025年初頭にAI生成コンテンツの追跡を開始した際、1日あたり約1万曲がAIを使用していることを発見したと述べていた。つまり、AI生成の楽曲は16か月で650%も増加したということだ。

ただし、これらのAI生成楽曲の再生は全体の1~3%にとどまり、再生された分に関しても、その85%が不正検出されて収益化を停止されているとDeezerは付け加えた。

今回の発表は、AIによって粗製濫造した楽曲をDeezerにアップロードしても限りなく収益化はできないことが強調されている。

業界最大手のSpotifyやApple Musicなど、他の主要なストリーミングプラットフォームは、DeezerやBandcampといった代替サービスほどAI生成楽曲の扱いについて情報を出していない。

だが、AI生成による楽曲は、音楽ストリーミングサービスにとっては頭痛のタネであるはずだ。特にSpotifyでは数年前から、ありきたりな名前のフェイクアーティストを大量に登録した自称・音楽レーベルがいくつも現れ、AI生成楽曲を大量にアップロード、それらを正規の音楽プレイリストに紛れ込ませて、数百万回もの便乗再生を得る手口がまかり通っていることが報じられている

先週末には、米国のiTunesチャートでIngaRoseというアーティストが「Celebrate Me」という楽曲で1位を獲得した。しかしこのアーティストの説明文には、楽曲がAIツール「Suno」で制作されていることが記されている。2026年現在のiTunesにおける楽曲販売の規模がどれぐらいで、チャートで首位を獲得することの難易度がどれほどかは不明だが、話題としてのインパクトは大きいと考えられる。

Deezerは、サービス上でAI生成楽曲の収益化を限りなく困難にすることに成功した理由として「1年以上前に導入した積極的な対策」を挙げている。

そしてこの対策で導入した「独自のツール」により、検出したAI生成楽曲にはタグ付けがなされ、リスナーに対する「おすすめ」や同サービスが編集するプレイリストからも除外されるという。

特にこの独自ツールは、現在最も人気のある2つのAI音楽生成サービス、SunoとUdioによって生成された楽曲の音楽の検出が可能で、ストリーミングにおけるAI関連の不正行為による、アーティストへの支払いの希釈を最小限に抑えることが可能であることを実証したとしている。

Deezerは今年1月からこの特許出願中のAI音楽検出ツールのライセンス供与を開始しており「あらゆる業界の仲間がAI時代の公平性のための闘いに加わってくれることを楽しみにしている」と述べている。

なんだ、今回の発表は結局、このツールの宣伝か…という印象も受けないではないが、独自のツールを用いてAI生成の楽曲を検出している音楽サービスは他にもある。

昨年9月にサービスを開始したCoda Musicは、サービスに追加されたアーティストをすべて独自のツールによって自動的に判別し、AIに由来すると判定されたアーティストには「AI Artist」とラベル付けを施すようになっている。さらにユーザーが、AIの疑いがあるアーティストを報告することもできる。ただし記事執筆時点では、Coda Musicは日本ではサービスを提供していない。

Deezerのアレクシス・ランテルニエCEOは、今回の発表において「AIが生成する音楽はもはやニッチな現象ではない。日々の配信量が増加し続けるなかで、音楽エコシステム全体がわれわれと共にアーティストの権利を保護し、ファンにとっての透明性を促進するための行動を起こしてくれることを期待している」と述べている。

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