正面から見ると目玉のおやじみたい
中国、飛行船型「メガワット級風力発電」の初飛行に成功

中国科学院航空宇宙研究所と北京・清華大学は、世界初とうたうメガワット級の高高度風力発電システムを開発し、初飛行に成功したと発表した。
風力発電システムの初飛行とはなんぞや、と思う方がほとんどではないかと思われる。だが、このシステムは寸詰まりの飛行船、バルーンでできた全長60m、直径40mの巨大なジェットエンジンのような形状をしており、非常に軽量なうえ空気よりも軽いガスを充填するため、動力なしに空中に浮上することが可能になっている。
独自の巨大なダクト型空力形状によって安定的に飛行することができる。相互接続された100kWの風力タービンユニット12基によって、想定定格出力は1MWを超える。
もちろん、飛行すると言ってもどこかへ飛んでいくためではない。高強度・軽量のテザー兼送電ケーブルで地上に係留され、発電した電力を地上送電網へと送り出すようになっている。
実は、空中風力発電システムそのものはそれほど新しい発想のものではない。たとえば、いまから10年以上前にGoogleが買収したMakani Powerなどは、風力タービンを搭載する凧またはグライダーのような機体をテザー付きで空中に飛ばす発電システムを開発していた。
今回の清華大学のシステムに近い浮体式の空中風力発電システムも、2012年頃にはMIT発のベンチャー企業Altaeros Energiesが開発し、テストをしていた。ただ、これらの空中風力発電システムのほとんどは、コンセプトやプロトタイプ段階から抜け出すことはできず、商業的に実現不可能との結論に至っている。
逆に言えば、今回のシステムの浮上試験の成功は、空中風力発電システムが実験的な検証段階から工学的に実用化可能な段階に移行したことを示すものとも考えられる。このシステムの発電能力は、1時間で高性能電気自動車約30台をフル充電できるほどの電力を生み出すほどだという。

一般的な巨大なプロペラ式の風力発電は、周囲に何もない場所でないと設置できない。これに対して空中風力発電システムは、ビルの屋上などの建物が密集する都市部での風力発電を実現できる。
今回のシステムは、高度2000mの高さで稼働することが想定されており、人口が密集する都市上空でも発電が可能になるという(他のシステムとテザーが絡まないようにする仕組みが必要になるかもしれないが)。
ただ、こうした空中風力発電システムがすぐにも中国の市街地で実用化されるのかと言えば、そうでもないようだ。その要因として、システムを浮揚させるヘリウムガスの供給不足が指摘されている。
また、商業利用の実現には、実証実験の成功だけでなく、システム全体の信頼性や耐用年数、さまざまなコストに関する問題も考慮しなければならない。まだしばらくは、そうした問題の解決に時間を要することになりそうだ。
- Source: Tsinghua University
