1年前は「月は邪魔だ」とまで言っていました
SpaceX、「火星直行」から「月面都市建設」に方針変更

約1年半前、イーロン・マスク氏は当時から2年以内にSpaceXの無人宇宙船を5機、火星へ送ると述べていた。しかし現在、マスク氏は月面基地建設に同社のフォーカスを「シフト」したと述べており、一部の人々は、マスク氏は果たして本当に火星への入植を実現する気があるのかとの疑念を抱き始めているようだ。
昨年初頭にマスク氏は、火星探査に向かうには月の資源を使うのが有効だとするXユーザーの意見に対し「いいや。火星に直行する。月など邪魔でしかない」と豪語していた。しかし、日曜の夜、マスク氏は「知らない人のために言っておくと、SpaceXはすでに月面に自律的に成長する都市を建設することに焦点を移している。火星だと20年以上かかるが、月なら10年以内に実現できる可能性があるからだ」とXに投稿した。
とはいえ、SpaceXが火星から月の基地建設に方針を変更した実際の理由については、NASAがSpaceX Starshipの開発遅れを理由に、ジェフ・ベゾス氏のBlue Originとの間の月着陸船の開発契約を再開したからだとも指摘されている。マスク氏としては、Blue Originに月着陸船の開発で敗れるわけにはいかないだろう。そのため、月面着陸プロジェクトはいま、SpaceXの最優先課題になっているわけだ。
Wall Street Journalによると、SpaceXは現在、民間投資家に対して月へ2027年3月の飛行実現を目標としていると密かに伝えているという。
だが、マスク氏は決して火星への入植を諦めたわけではないとしている。同氏いわく、打ち上げ時期や地球への距離を考慮すると、まず月面で概念実証を完了させる方がロジスティクスが容易になるのだそうだ。
ならなぜ最初に火星に直行すると言ったのかはわからないが、マスク氏は細かな計画を立てる前に、おおよそ実現不可能な目標をさも簡単であるかのように主張し、しばらくすればそのスケジュールを忘れてしまう悪癖がある。実際2017年には、早ければ2024年には火星に最初の入植者を受け入れる準備が整うと述べていたほどだ。
マスク氏は、今回の一連の発言でも「火星探査は5~6年後に開始される予定で、月探査と並行して行われることになるが、当初は月が焦点になる」、火星の有人探査は「たぶん2031年に実現する」とその予測を述べている。
ちなみに、NASAのアルテミス計画では、2028年までにアルテミス3号ミッションで飛行士を月面の着陸探査に送り込む予定となっている。アルテミス3号の飛行士は、月周回軌道まではオリオン宇宙船で向かい、そこでSpaceXのStarship HLSに乗り換えて月面に着陸する計画だ。直近の有人月周回ミッションであるアルテミス2号は、ロケットの水素漏れの問題などから2月の打ち上げを断念しており、記事執筆時点では3月上旬の打ち上げ期間を予定している。
