【連載】山本敦の発見!TECH最前線 第3回
5年ぶりに進化!アップルの第2世代「AirTag」を活用する方法

アップルが1月末に発売した新しい第2世代の「AirTag」を試用した。新旧モデルで変更されたポイントにも注目しながら、AirTagの特徴について振り返ってみたい。
AirTagが約5年ぶりにモデルチェンジ
AirTagはアップルが2021年4月に発売した紛失防止スマートトラッカーだ。サイズは500円玉よりも少し大きく、キーホルダーやバッグ、スーツケースなどの持ち物に装着して使う。
初期設定のためには、iPhoneまたはiPadが必要だ。Androidスマホとのペアリングには残念ながら対応していない。iPhoneやiPadからユーザーのAppleアカウントにAirTagを登録すると、以降はMacやApple Watchからでも、持ち物をトラッキングできるようになる。

価格は1個売りで4,980円、4個入りのパックは16,980円(どちらも税込)。カラバリが1色しかなく、初代のモデルからデザインも変わっていないため、複数のAirTagが手もとにあると見分けが付かなくなる。
その対策として、色や形の違うケースに装着するか、またはオンラインのApple Storeで購入する際に無料で申し込める、アルファベットや絵文字の「刻印」サービスも活用したい。
進化のポイントは「みつけやすくなった」こと
第2世代のAirTagは、初代のモデルから大きく2つの点が進化した。
ひとつは家やオフィスなど「室内でさらに見つけやすく」なった。iPhoneの「探す」アプリから位置情報を知りたい持ち物を選択して「探す」メニューを選択すると、探しているAirTagまでの距離や方向をアプリの画面に矢印や距離で表示してくれる「正確な場所を見つける」機能が使える。
「正確な場所を見つける」機能は、アップル独自の超広帯域無線(UWB)チップを搭載するiPhone 11以降のモデル、iPhone Airで利用できる。
第2世代のAirTagには、探索できる範囲が広くなった最新のBluetooth/UWBチップが載っている。筆者の場合は「正確な場所を見つける」機能を、自宅でAirTagを装着したキーホルダーが見つからない時など、持ち物の場所がある程度推測できる場面で使っている。
前世代のAirTagは持ち物に対して3メートルぐらいの距離まで近付くと、iPhoneの画面に方向指示が表示される。新しいAirTagは8〜9メートルぐらい離れた場所からでも矢印が反応した。

ただし実際には「サウンドを再生」する機能を併用すれば、もっと遠い場所からでもAirTagの所在がおおよそわかる。
第2世代のAirTagは、背面の金属パネルを振動させるアクチュエーター方式のスピーカー構造を継続採用しながら、内部構造の見直しとサウンドチューニングによりチャイム音の音圧を高め、周囲が賑やかな場所でも認識しやすくしている。これが2つめの進化のポイントだ。

Apple Watch Series 9、Ultra 2以降の機種から、第2世代のAirTagに直接ペアリングして、ウォッチから直接「正確な場所を見つける」機能によるAirTagの探索も可能になった。
しかし残念ながら、この機能は現在は日本で使用できない。アップルのサイトはこれに関して、その旨が注記として追記されている。新しいAirTagのUWB実装が日本の電波法が定める制度に適していないことが原因のようだ。
今後アップルが速やかに規制対応を進め、日本国内でも使えるようになることを期待したい。なお、iPhoneについては新しいAirTagも「正確な場所を見つける」機能により探すことができる。
デザインやバッテリーは変更なし
新しいAirTagが初代のモデルから「変わらなかった点」も価格のほかに3つある。
ひとつには見た目からすぐにわかる通り、デザインと大きさが変わっていない。
よく見比べると、背面の金属パネルにある刻印の文字が記す内容が少し変わっているのだが、あとはサウンドを再生して、チャイム音を聴き比べて新旧モデルを判別するほかない。
バッテリーも、同じく汎用性の高いコイン型リチウム電池「CR2032」1個を使う。

米国では2022年に、コイン電池を使用するコンシューマー製品と、コイン電池そのものについて連邦レベルでより厳しい安全基準を義務付ける「リース法」が成立した。この流れに伴い、コイン型電池を格納する箇所のフタが簡単に開かないように、ロック機構などを設ける製品が増えている。幼児が誤ってコイン電池を取り出して、飲み込まないようにするためだ。
AirTagはこの点で、初代のモデルから電池室のフタを兼ねる背面パネルが簡単には開かない構造になっている。だから、第2世代のAirTagもバッテリーの仕様は変更なしということになった。
だが、むしろAirTagは背面パネルが開けづらくて困ることがないだろうか? 筆者は電池交換の際には、短く切ったマスキングテープを背面パネルに貼って “すべり止め” にしている。指のひっかかりができるので、あとは時計回りと反対の方向にフタを回せば比較的楽に開ける。試してみてほしい。

そして3点目が高い耐久性能だ。AirTag本体はIP67等級の防塵防水設計としている。筆者は初代のAirTagを発売直後からもう4年以上使い続けているが、故障や目立つようなキズが付くこともなく元気に動いている。「探す」アプリから定期的にバッテリー切れさえケアしていれば、長く安心して使えるスマートトラッカーだ。
「探す」ネットワークによる手荷物検索がやはり心強い
筆者が最もAirTagの有り難みを感じる場面は、海外出張の際に「探す」ネットワークによるスーツケースのトラッキングが簡単にできることだ。「探す」ネットワークは世界中のAppleデバイスによるクラウドソースネットワークを活用するトラッキングサービスだ。
Bluetooth LEの技術を土台にして、アップルの「探す」ネットワークに対応するiPhoneなどのデバイス、AirTagを装着した持ち物の場所を検出し、おおよその位置情報を「探す」アプリ上で知らせてくれる。

最近ではアメリカのユナイテッド航空のように、独自に精度の高い手荷物のトラッキングサービスを提供するキャリアもあるが、スーツケースのポケットにAirTagをしのばせておけば二重に安心だ。手荷物受取所でスーツケースをピックアップした直後にAirTagのチャイムを鳴らせば、確実に自分のものであることを判別できる。
新しい第2世代のAirTagを試して不満を感じることは特にないが、アップルには今後、形状の違うAirTagのバリエーションを増やすことも考えてもらいたい。今のAirTagのサイズだと、一番紛失を防ぎたい財布との相性があまり良くないからだ。
筆者はいま、財布のカードポケットにTileのスリムなカード型スマートトラッカーを入れて持ち歩いている。モバイルアプリを含めて使い勝手はとても良い。だが、電池の交換に対応しておらず、約3年間で寿命が来るデバイスであることが難点だ。

長めに使える充電式バッテリーを搭載する、スリムサイズのAirTagがラインナップに追加されれば、AirTagを選ぶユーザーが間違いなく増えるだろう。第2世代AirTagの発売を皮切りにして、これからシリーズの拡大が図られることを期待したい。
