安全が確認されているなら無問題

NASA、「宇宙船へのiPhone持ち込み」ついに許可。アイザックマン長官が述べる

Munenori Taniguchi

Image:Jared Isaacman/SpaceX

NASA長官のジャレッド・アイザックマン氏は、3月に打ち上げが延期されたNASAのアルテミス2号や国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在ミッションの宇宙飛行士らが、iPhoneなど最新のスマートフォンを宇宙船内に持ち込むことを許可するとSNSで述べた。

NASAの宇宙飛行士は長年にわたり宇宙ステーションから素晴らしい写真を撮影してきた。たとえば日本の油井亀美也飛行士は、ISSから撮影したさまざまな地球や宇宙の写真をXに投稿し、また衛星地球観測コンソーシアム (CONSEO)のアンバサダーとして「Earth Diary」という特設サイトでもその写真の数々を公開している。

ただし、極端な閉鎖空間となるISSや宇宙船内に持ち込む電気・電子機器は、チップの放射線特性評価からバッテリーの熱・真空試験、ガス放出の懸念、振動試験、その他の認定に関する懸念に至るまで厳しい安全性に関する審査があり、それをクリアしたものしか持ち込めない決まりがあった。たとえばアルテミス2号の場合、船内に持ち込めるカメラには当初、2016年式のニコンのデジタル一眼カメラと、やはり10年前のGoProが指定されていた。

現在、NASAのチームに対しては、今日でも依然として必要とされる難解な技術要件に疑問を投げかけるよう指示が出されているとのことだ。たしかに最新のiPhoneやAndroidデバイスを使うことができれば、飛行士らはもっと自発的に画像や動画を収集できるようになり、結果的に宇宙滞在における様々な事柄を視覚的な記録として残せるようになるだろう。

最新のテクノロジーを備える機器を船内に持ち込めるよう、審査プロセスを迅速化することにはなんの問題もない。とはいえども、宇宙空間でそれほどまでに最新の民生機器が必要なシチュエーションがどれぐらいあるかはわからない。

最新の機器には未発見の不具合や欠陥が含まれることがある。たとえば充電中などにバッテリーから出火したり、シックハウス症候群のように、新しい製品に使用される薬剤の揮発などで出た有毒なガスが船内に充満したりすれば、換気のできない宇宙では飛行士全員の健康や命に関わるかもしれない。

アイザックマン氏は、自身がNASA長官になる前に参加した複数の民間宇宙ミッションに、スマートフォンを持参していた。そのため、NASAのミッションでそれが簡単ではないことを知って、不便かつ時代遅れだと感じたのかもしれない。

一応紹介しておくと、NASAのミッションでも、これまでスマートデバイスを軌道上に持ち込むことが全面的に禁止されていたわけではない。 2011年に実施されたスペースシャトル最後のミッションには、2台のiPhone 4が搭載されていた。また10年ほど前から、ISSではタブレット端末が用意され、飛行士らは主にこれを使ってインターネットを閲覧したり家族と連絡をとることができた。

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