【連載】山本敦の発見!TECH最前線 第2回
待望の日本上陸!10分でサクッと汗を流せる「Apple Fitness+」を全力で体験してみた

アップルによる健康増進・維持のためのワークアウト系サブスクリプション「Apple Fitness+」が、1月21日から日本で提供を開始した。
米国で最初にサービスインしてから、約5年を経てようやく日本に上陸を果たした。筆者も楽しみにしていたので、早速自宅で試してみた。無理なく続けられるサービスなのか、手応えをレポートしたい。
iPhoneがあれば簡単に楽しめる
Apple Fitness+の基本形は、ビデオコーチングを見ながら身体を動かせるサービスだ。キックボクシングにヨガ、ピラティス、メディテーション(瞑想)など、12種目のワークアウトのビデオコンテンツを、アップルが自らロサンゼルスのスタジオで撮影・制作している。
月額料金は980円だが、年間契約を選ぶと7,800円と少しお得になる。4K HDR画質なので、Apple TV 4Kを接続した4Kテレビで視聴すると画質の良さを実感する。
iPhone、iPad、Apple TVのフィットネスアプリで利用できる。Macには非対応だが、iPhoneでワークアウトを選択してからAirPlayでMacの画面にビデオを表示可能だ。

Apple Watchの利用はマストではないが、Apple Watchか、または心拍センサーを内蔵するAirPods Pro 3、BeatsのPowerbeats Pro 2を装着すると、ワークアウト中に心拍数や消費カロリーをリアルタイムに画面でチェックできる。また、Apple Watchがあればワークアウトの再生・一時停止を手元で操作することも可能だ。
Apple Fitness+は「iPhoneがあれば楽しめるサービス」だが、画面が小さいと、種目によってはトレーナーが指導する身体の動きを細かく目で追えなくなる。だから筆者は、Magic Keyboardに装着したiPad Proを使うことにした。
この組み合わせだと、寝室で横になりながらピラティスやヨガを実践する時にも、iPadを見やすい位置に都度動かしながら、コーチの身体の動きをチェックできて良い。もし部屋の中で存分に身体を動かすスペースを確保できれば、キックボクシングやダンスのビデオを、テレビの大きな画面に映して楽しむスタイルも良さそうだ。

コンテンツ検索が簡単、バッジでモチベーション持続。月額980円に納得
筆者はまだApple Fitness+を始めてから数日しか経っていないが、今のところ月額980円のサービスに一定の値頃感と、これからも続けられそうな手応えを感じている。
YouTubeで探せば、同様のワークアウト系ビデオコンテンツは無料で見られるものが山ほど見つかる。だが、実際にワークアウトを始めようとした時に、YouTubeの場合はお気に入りの動画を再び探して、再生する手間がかかる。これが面倒なので、結局ワークアウト習慣も長続きしない。
Apple Fitness+のユーザーインターフェースは、ワークアウトの検索性能が優れている。28人のトレーナーやお気に入りの種目から探せる。さらに、種目を絞り込んでから「フィルタ」をかけて、最短5分から最長45分までの「レッスンの長さ」だったり、ビデオのバックグラウンドで再生される音楽のジャンル、使用するフィットネス機器などの条件から挑戦してみたいコンテンツを見つけられる。

繰り返し実践したいコンテンツは「ライブラリ」に保存したり、デバイスにダウンロードしてオフラインで楽しむこともできる。
やり遂げたワークアウトの成果や心拍数の履歴などのデータは、フィットネスアプリやヘルスケアアプリに保存されるため、後からでも振り返れる。さらにワークアウトを続けると「バッジ」も獲得できる。
ユーザーのモチベーションが低下しないよう、適度に背中を押してくれる仕掛けが整っている。Apple Watchを発売してから10年間のあいだに、アップルのワークアウトサービスが様々な改良を重ねてきたことの証左だ。
ワークアウトを開始すると、身体の動きに合わせていいタイミングでビートが炸裂したり、ビデオと音楽の節目がマッチするように選曲と音ハメが練られていると感じる。
楽曲の再生順は固定されているので並べ替えはできないし、消音してコーチング音声だけを聞くこともできない。だが、コーチング音声とBGMのどちらを聞こえやすくするかを、ユーザーが選ぶことはできる。
それぞれApple Musicで配信されている音楽コンテンツだが、ユーザーはApple Fitness+に契約すれば、別途Apple Musicにサブスク登録しなくてもコンテンツのBGMとして聴ける。

狭いわが家でも存分に身体を動かしながら汗をかける
筆者はこの数日間、自分に合うコンテンツを探しながらApple Fitness+を試している。現時点で気に入った点と、これからさらに改善を望みたい点が見えてきた。
良かった点はまず、狭いわが家でも無理なく実践できるワークアウトが意外に数多く揃っている点だ。ヨガやピラティスは、基本的にトレーナーが足もとに敷いているヨガマット1枚分のスペース上に立って、両手を広げられるスペースがあれば十分だ。
多くのコンテンツはフィットネス機器が手もとになくても楽しめるが、足もとが滑らないようにマットを1枚敷けば、飛び跳ねた時の騒音対策にもなる。筋トレを目的にしたい方はダンベルを使うコンテンツもあるので、積極的に器具を活用したい。
試しに、Fitness+トレーナーのバカリ・ウィリアムズ氏のHIIT(高強度インターバルトレーニング)のワークアウトを実施してみた。デスクワークの合間に10分間全力で身体を動かせば、冬場でも暖房器具が要らなくなるほどに汗をかける。

ワークアウトの説明に「ジャンプ」を頻繁に行うと書いてあったので、動くスペースと騒音を心配しながら、おそるおそる開始。実際に必要なスペースはやはりマット1枚分ほどで、無理に高くジャンプしなくても大丈夫だった。
コンテンツに出演するバカリさんのほか、2名のトレーナーのうち1名が「入門者向け」に、ジャンプしなくても同じ効果が得られるワークアウトの手本を実演してくれる。どのワークアウトにも「入門者向け」の手本があるので、初めてのワークアウトも無理なくスタートできそうだ。
今後の改善をのぞみたいポイントもあった
ワークアウトの音声解説はすべて日本語対応だ。28人のFitness+トレーナーが「日本語で解説」してくれる。トレーナーの実際の声をサンプリングして、AIで生成したデジタル翻訳音声が使われている。
その出来映えがとても自然なので、違和感なくワークアウトに没入できた。日本語字幕も用意されているが、読みながら身体を動かすことが難しかったので、筆者はイヤホンで翻訳音声を聞きながら身体を動かす方が馴染んだ。

いくつかのワークアウトを試しているが、筆者が今後の改善を願う点、具体的には日本のユーザーに合わせたローカライゼーションを期待する点もこの生成音声にある。
ワークアウトに熱が入ってくると、声を張り上げるトレーナーがいる。「フー!」とか「イェー!」といった感じで、「力を入れた瞬間に無意識に出る声」なので、無理やりシャウトしているわけではない。自分を鼓舞しながらテンションを上げるための “合いの手” のようなものだ。この習慣の好き嫌いはさておき、Apple Fitness+ではどうやらこの “かけ声” もデジタル翻訳してしまう。
実際にトレーナーが発している声と聴き比べてみると、何となくテンションのズレがあり、自分が感じた不自然さが確信に変わった。例えることが難しいのだが、「洋画に登場する人物が “うたう歌” まで、日本語に吹き替えて声優に歌わせている感じ」かもしれない。
この “かけ声” は翻訳せずにスルーして、そのままトレーナーの生声を聞かせる方が良いと思う。妙な翻訳音声に集中を乱される。できれば改善をのぞみたい。
あと1点、今後の展開を期待したいポイントは、音楽のセレクションを拡大することだ。
サービスの日本ローンチに合わせて、アーティストスポットライトとして「YOASOBI」の楽曲がハイライトされている。いくつかのワークアウトのメニューは、全曲YOASOBIを聞きながら身体を動かせる。
オーストラリア在住の知人に聞いたところ、向こうではカイリー・ミノーグやシーアなど、オーストラリアの人気ミュージシャンがハイライトされているようだ。
筆者もYOASOBIは楽曲もアーティストとしても好きなので不満はない。だが、できれば50代のユーザーがより熱くのめり込めるTMNとか、渋谷系、avex系とかミスチル的なアーティストスポットライトも今後検討してもらいたい。

エニタイムフィットネス会員は無料で楽しめる
とりあえずは1か月間の無料トライアルのあいだ、しっかりとApple Fitness+を活用してみたいと思う。筆者の場合、「毎日続けること」が目標になってしまうとすぐに挫折するので、適度にさぼりながらマイペースで続けられるようにしたい。
ちなみに筆者はエニタイムフィットネスの会員なのだが、同じエニタイム会員の方に向けて、ジムの月額会費の中でApple Fitness+が無料で楽しめることを最後にお知らせしたい。
iPhoneにエニタイムフィットネスアプリをインストールして使っている方は、既にお知らせが届いているかもしれない。アプリからiOSの「フィットネス」アプリに会員情報をリンクさせれば、以後、エニタイムフィットネスアプリの中にApple Fitness+のワークアウトメニューが表示される。タップするとフィットネスアプリに遷移して、無料でコンテンツが利用できる。

店舗で確認したところ、今後は3か月ごとにエニタイムフィットネスアプリ、または会員情報として登録されているメールアドレスにApple Fitness+の無料クーポンが届くので、この情報を更新しながら当面は無料で使えるようになるそうだ。
無料で使えるエニタイム会員の方はもちろん、会員でない方も1か月の無料トライアルがあるので、ぜひこの機会に自宅などでApple Fitness+を活用してほしい。
