【連載】佐野正弘のITインサイト 第193回

ついに展示予定、日本未発売のサムスン“3つ折りスマホ”「Galaxy Z TriFold」その実力は

佐野正弘

韓国サムスン電子が2025年12月に海外発表した、3つ折りタイプの折り畳みスマートフォン「Galaxy Z TriFold」。発表直後から大きな話題となったGalaxy Z TriFoldだが、当初販売されているのは韓国のみ。今後中国や台湾、シンガポール、アラブ首長国連邦、米国などでの発売が予定されているが、日本での発売は未定だ。

だが同社は日本でも、Galaxy Z TriFoldを見てもらう場を設ける方針のようで、2026年2月下旬より「Galaxy Harajuku」「Galaxy Studio Osaka」でGalaxy Z TriFoldの展示を開始する予定だ。それに先駆ける形で報道陣にGalaxy Z TriFoldに触れる機会が設けられ、筆者も実際に、その使い心地を体感することができた。

Galaxy Z TriFoldの概要を簡単に振り返っておくと、折り畳んだ状態で約6.5インチのスマートフォンとして利用できるだけでなく、左右に2回開くことで約10.0インチの大画面ディスプレイを利用できるのが最大の特徴となる。同社の横折りタイプの最新モデル「Galaxy Z Fold7」が開いた状態で約8.0インチとなるが、開く回数が1回多い分、通常サイズのタブレットに匹敵する大画面を利用できるのが魅力となる。

「Galaxy Z TriFold」は、開いた状態で約10.0インチの大画面で利用できるスマートフォンだ
本体を閉じたところ。この状態では約6.5インチのスマートフォンとして利用できる

性能面でもチップセットに「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」を搭載し、背面のメインカメラも約2億画素の広角カメラをはじめとした3眼構成。バッテリー容量も5600mAhと大容量で、45Wの急速充電に対応するなど、非常に高い性能を備えていることが分かる。同社がかなり力を入れて開発したデバイスであることは確かだ。

実際に手にしてみると、閉じた状態では厚さが約12.9mmと、一般的なスマートフォンと比べればさすがに厚さを感じる。ただそれでも、横折りタイプの前機種「Galaxy Z Fold6」が閉じた状態で約12.1mmであったことを考えれば、それらと大きく変わらない厚さだけに片手での操作も十分可能なレベルだと感じる。

閉じた状態で側面から見たところ。約12.9mmとそれなりに厚さはあるが、以前の横折りタイプのスマートフォンと大きく変わらない厚さだ

それだけの薄さを実現した理由の1つは、開いた状態でのボディが非常に薄いため。実際Galaxy Z TriFoldを開いた状態での厚さは約3.9mmと、Galaxy Z Fold7(約4.2mm)より一層薄くなっている。

開いた状態で側面から見たところ。「Galaxy Z Fold7」を下回る約3.9mmと、非常に薄いことが分かる

そしてもう1つはヒンジである。3つ折りタイプのスマートフォンは機種によってディスプレイの折り曲げ方が異なり、海外で既に発売されているファーウェイ・テクノロジーズの「HUAWEI Mate XT Ultimate Design」は、ディスプレイを内側に一度、外側に一度折り曲げる構造を採用しており、開いた状態でも閉じた状態でも同じディスプレイを用いて表示する形が取られている。

それに対してGalaxy Z TriFoldは、ディスプレイの左右を内側に折り曲げる構造で、閉じた状態ではGalaxy Z Fold7などと同じように、別途背面のディスプレイを用いている。これは内側のディスプレイを保護することを重視したが故の構造だというが、それだけに構造的にも薄型化が難しいように感じる。

Galaxy Z TriFoldはディスプレイの左右を内側に折り曲げて畳む構造を採用。閉じた状態では別途背面に用意されたディスプレイを用いる形が取られている

だがサムスン電子では、左側と右側のヒンジの長さにやや違いを持たせることで、薄さを維持しながら開きやすい設計を実現している。それゆえ本体を折り曲げる順番は決まっており、違った順番で折り曲げようとすると画面表示やバイブレーションで警告する仕組みとなっている。

ヒンジの長さに違いがあることから左側、右側の順に折り畳む必要があり、右側から折り畳もうとするとバイブレーションなどで警告する

サムスン電子がGalaxy Z TriFoldで大画面を実現したのには、生産性と移動性の両方を兼ね備えた、AI時代の新しいスマートフォンを提供するためだという。それだけにGalaxy Z TriFoldは、大画面を有効に活用する仕組みが多く備わっており、その1つが「Samsung DeX」である。

Samsung DeXはスマートフォンを外部ディスプレイに接続することで、スマートフォンをパソコンのようなデスクトップ環境で利用できる仕組み。アプリをパソコンのようにウィンドウ表示し、マルチタスクでの作業がしやすくなることから、ビジネスユースで人気のある機能だ。

だがGalaxy Z TriFoldはその大画面を生かし、本体を開いた状態であれば外部ディスプレイに接続する必要なくSamsung DeXが利用できる。別売りのスタンド付きケースを利用すれば、本体を開いた状態で立てて利用できるので、別途Bluetoothのキーボードやマウスを用意すればノートパソコン感覚でさまざまな作業が可能だ。

Galaxy Z TriFoldは大画面を生かし、外部ディスプレイにする必要なく「Samsung DeX」が利用できる。別途キーボードやマウスを接続すればパソコン感覚での作業が可能だ

従来のSamsung DeXは、外部ディスプレイへの接続が必要な点が利用のハードルとなっていた。だがGalaxy Z TriFoldは単体でそれが利用できるだけに、うまく環境を整えさえすれば、ノートパソコンを持ち歩く必要なく1台でどこでも仕事をこなせる可能性があると感じさせる。

Samsung DeXを用いなくても大画面を有効活用する手段は多く用意されている。実際、Galaxy Z TriFoldは画面が横に広いことを生かし、画面を縦に3分割して複数のアプリを同時に利用することも可能。手に持って操作する際は、こちらの方が大画面を活用しやすいだろう。

通常の状態でも大画面を生かし、画面を縦に3分割して別々のアプリを同時に動かすことが可能だ

もちろん、大画面で映像などのコンテンツを視聴することも可能。サイズ的に縦にもしやすいことから、縦画面のショート動画などをより大きな画面で視聴するのにも向いていると感じた。

このように、Galaxy Z TriFoldはハードだけでなくソフトウェアの面でも大画面を活用しやすく設計されており、利便性は高いと感じるが、一方で課題もいくつかあると感じる。1つはヒンジの使い方で、Galaxy Z TriFoldのヒンジは基本的に開くか閉じるか、いずれかの状態で利用することが想定されているのだ。

それゆえHUAWEI Mate XT Ultimate Designのように、途中まで折り曲げた状態で固定し、スタンド代わりにしたりするなど、多様なスタイルで利用することはできない。折り畳みスマートフォンは、本体を折り曲げられることを生かしたフレキシブルな使い方も魅力の1つとなるだけに、この点は今後改善が求められる所だろう。

ヒンジは基本的に開くか閉じるかのどちらか一方となるため、写真のように途中で止めた状態にするのは意外と難しい

そしてもう1つはやはり価格であり、韓国での販売価格は日本円でおよそ38万円からとされている。それだけのお金があれば、例えば同じサムスン電子製のハイエンドスマートフォン「Galaxy S25 Ultra」(19万9800円から)と、11インチディスプレイのタブレット「Galaxy Tab S11」(12万9030円から)を購入した方が安くついてしまう。

もちろん、Galaxy Z Fold7も25万円超と非常に高額であることから、値段の高さは折り畳みスマートフォン共通の課題でもある。最先端の技術を詰め込んだ最上位モデルだけに、高額になってしまうのはやむを得ない部分もあるが、将来的に折り畳みスマートフォンを一般化し、普及させていくことを見据えるならば、価格面での配慮も今後求められる所ではないだろうか。

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