スマホ新モデル停止したメーカーが復帰した前例ナシ

ASUS、スマートフォンから事実上撤退。今後の新機種なし、会長が公式表明

多根清史

Image:Framesira/Shutterstock.com

ASUS会長のジョニー・シー氏は、2026年1月16日に台湾で開催されたイベントにおいて、「ASUSは今後、スマートフォンの新モデルを発表しない」と明言した。今後は、ロボットやスマートグラスといったAI関連製品に注力するという。

今月初めには、ASUSがスマートフォン事業を縮小するとの未確認報道が出ていたが、同社は当時コメントを控えていた。今回の発言により、その内容が事実であったことが公式に確認された形となる。

一方でシー氏は、「既存のブランド携帯ユーザーへの配慮は継続する」とも述べている。このことから、販売済み製品のサポートは続けるものの、スマートフォン市場からは事実上撤退、あるいは無期限の様子見に入ると受け止められている。かつて人気を博したZenfoneシリーズや、ゲーム向けスマホというニッチ市場で存在感を示していたROG Phoneは、実質的に終了することになる。

ASUSはかつて、Androidデバイス市場において多種多様な製品を展開していた。「スマートフォンと合体してタブレットになる端末」や、「タブレットがPCとして使える製品」など、意欲的な試みも多かった。2000年代後半から2010年代前半にかけて、市場が急拡大し技術革新が進んでいた時代には、ASUSのような企業がサムスンやアップルと並んで競争できる余地が確かに存在していた。

追加の説明としてシー氏は、現在は「パラダイムシフト」に対応するため、スマートフォンから開発リソースを移していると語っている。具体的には、商用PCや物理的なAIデバイス分野、たとえばAIロボットやロボティクス、AIスマートグラスなどへの注力を挙げた。

これまで、スマートフォンの新機種投入を一時停止したAndroid端末メーカーが、再び本格的に事業へ復帰した例はない。かつて韓国でサムスンと激しく競り合っていたLGも、長年の赤字を背景に2019年に発売ペースを縮小し、「適切なタイミングで再開する」としていたが、数年後にモバイル事業そのものを終了している。ASUSもまた、同じ道をたどる可能性が高いと見られる。

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