【連載】佐野正弘のITインサイト 第192回
Xiaomiがミドルクラスで「高耐久」に力を入れ始めた、それだけに超えるべき壁がある

2025年末から2026年初頭にかけ、スマートフォン新機種の発表が相次いでいる。中国のXiaomiもその1つで、2025年12月にローエンドの新機種「REDMI 15 5G」を発売したばかりだが、2026年1月15日には新たに、ミドルクラスの新機種「REDMI Note 15」シリーズ2機種を発表している。
その詳細は既報の通りだが、いずれもミドルクラスだけあって、ほどよい性能と購入しやすい価格のバランスに重きを置いたモデルとなっている。
上位モデルの「REDMI Note 15 Pro 5G」はチップセットに台湾MediaTek製の「Dimensity 7400-Ultra」、背面の広角カメラに約2億画素のイメージセンサーを搭載し、ロスレスで最大光学4倍相当のズームが可能。それに加えてFeliCaを搭載しながらも、価格は5万4980円からと、ミドルクラスとしては安価な部類に入る。
下位モデルの「REDMI Note 15 5G」は米クアルコム製の「Snapdragon 6 Gen 3」を搭載し、背面の広角カメラのイメージセンサーは1億800万画素。こちらはFeliCa非搭載だが、価格は4万4980円とより安価に抑えられている。
だがREDMI Note 15シリーズ、とりわけREDMI Note 15 Pro 5Gが従来のREDMI Noteシリーズと大きく異なるのは、コストパフォーマンスだけでない新たな特徴を備えていること。それが “頑丈さ” である。

実際、REDMI Note 15 Pro 5Gは「チタン級の耐久性」を備えていることをアピールしており、高強度フレームと厚みのあるマザーボード、そして7層構造の多層衝撃吸収構造を備えることにより、落下や衝撃などから本体を守る仕組みを備えている。
そこでREDMI Note 15 Pro 5Gは、スイスのSGSによる「SGS Premium Performance Certification for Drop & Crush & Bend Resistance」を業界で初めて取得。2.5mの対落下耐性に関する認証を受けるなどして、耐久性の高さをアピールしている。

それに加えてREDMI Note 15 Pro 5Gは、フロントガラスに傷や衝撃に強い、米コーニングの「Gorilla Glass Victus 2」を採用するほか、IP66/IP68の防水・防塵性能も備えている。頑丈さにかなり強くこだわって開発されていることが理解できるだろう。

ただ、本体の頑丈さにこだわったスマートフォンの開発に力を入れてきたのは、これまで国内メーカーが主。海外メーカーが高耐久にそこまで強くこだわる傾向は見られなかっただけに、現在のタイミングでXiaomiが高耐久にこだわるスマートフォンを投入したことは大きな変化ともいえる。
そこにはスマートフォンの利用年数が長期化していることが影響しているようだ。Xiaomiの日本法人、シャオミ・ジャパンのプロダクトプランニング本部本部長である安達晃彦氏によると、内閣府が2025年11月に公表した消費動向調査によると、日本におけるスマートフォンの平均使用年数は4.3年と、既に4年を超えている状況にあるという。
また買い替える理由も、本体の故障やバッテリーの性能低下など、ネガティブな理由が多くなっているとのこと。そうした傾向が日本だけにとどまらないものとなっていることから、Xiaomiでも世界的に、スマートフォンの耐久性能を高めることに力を入れているのだそうだ。

スマートフォンは現在、進化が停滞しており買い替えの動機付けが弱まっている一方で、価格は高騰する傾向にある。最近ではAI需要の高まりによるメモリ不足によって、さらに価格が高騰するのではないかという懸念が急速に広がっているし、日本では円安の長期化も価格を大きく押し上げる要因となっている。
そうしたことから消費者がスマートフォンを買い替える上でも、なるべく価格を抑えて長く安心して使えることに重きを置いて選ぶ動きが強まっている。Xiaomiが高耐久性に注力した製品を日本に投入するのも、そうした消費者のマインドを読み取ったが故だろう。
ただ先にも触れたように、高い耐久性を備えたスマートフォンは、日本国内メーカーが古くから手掛けておりそこまで珍しいものではなく、FCNTのように高耐久性を大きな特徴としてアピールするメーカーも存在するほどだ。とりわけREDMI Note 15 Pro 5Gの競合となるミドル・ローエンドのスマートフォンは高耐久性能を備えたモデルが多く、米国国防総省が定める「MILスペック」に準拠した試験を多く通過していることをアピールする製品も少なくない。
それに加えてコロナ禍以降は、ハンドソープで洗えることや、アルコールで除菌ができることにも対応するなど、高耐久性を超えた安心感の提供に力を入れる機種も増えている。そうした状況に慣れている日本のユーザーに、REDMI Note 15 Pro 5Gの高耐久性のアピールはまだ弱いように感じてしまうのも正直な所だ。

耐衝撃性だけでなく衛生環境なども考慮すると、同一モデルを可能な限りカスタマイズせずに世界展開することに重きを置くXiaomiが、ローカル市場に重きを置く国内メーカーに対抗するのは難しい部分があるだろう。スマートフォンにも長く安心して使えることの重要性が高まる今後、Xiaomiがどこまでこの分野で国内市場に踏み込んだ策を取るのかは、今後関心を呼ぶ所かもしれない。
