もはや「完全な自動運転」は提供されないと思っておくのが良さそうです
テスラが「FSD」売り切り販売を中止、サブスクのみに。月額99ドル

テスラCEOのイーロン・マスク氏は、同社製EV向けのオプション装備であるFull Self Driving(FSD)パッケージの一括購入制度を廃止し、2月14日以降は月額99ドルのサブスクリプション方式のみで提供すると発表した。
テスラはこれまで、FSDをオプション装備として提供してきた。その価格は当初は8000ドルだったが、その価格は徐々に上昇し、2022年後半には1万5000ドルにまでなっていた。
マスク氏は当初より、FSDオプションはソフトウェアの開発が進むにつれ高機能化し、ゆくゆくはすべてのテスラ車が数十万ドルの価値を持つ自動運転タクシーになるまで高額化していくと説明。よってFSDを装備したいなら、時期を待たず、すぐに購入するほうが良いとのことだった。もっと言えば、FSD搭載のテスラを購入することは「未来への投資」であり、テスラ車は「価値が上がる資産」だとも述べていた。
ところが、その理屈は2023年に成り立たなくなった。テスラの納車台数は2023年のピーク以降、減少している。それにともないFSDオプションの価格も1万2000ドルに引き下げ、翌2024年には8000ドルと、ほぼ半額にまで値下げされた。FSDにはサブスクリプション式の提供方法もあるが、こちらも199ドルから半額の99ドルに変更された。
マスク氏はFSDの販売を始めた2015年当時、2018年には完全自動運転が実現できると主張していた。しかし2025年まで7年にわたり、その約束は果たされていない。

まして、すでに他社も実現している程度の運転支援機能(自動運転レベル2)を、AutopilotだのFull Self Drivingだのと宣伝し、高額で販売するのは難しくなってきているはずだ。初期にFSDオプションを購入した顧客にとっては、提供すると言われた機能が手に入らないまま車両の寿命が来てしまう可能性も出てくる。
さらに、トランプ政権が電気自動車に対する補助金などの優遇制度を廃止したことで、テスラにとっては今四半期の販売も厳しい状況になりつつある。
テスラにとって、サブスクリプションへの移行は年末の販売低迷を受けての措置とも言える。同社は第4四半期の納車台数が41万8227台と前年同期比約16%減となり、生産台数も5.5%減少したと発表した。テスラは1月28日に四半期決算の発表を予定している。
FSDをサブスクのみの提供にすることは、顧客にお試し的にFSDの利用を開始させ、それを継続的な現金収入につなげたい考えもあるかもしれない。マスク氏が言っていたFSDの価値とともにテスラ車の資産価値が上昇するという話はFSDのサブスク化によって成立しなくなるが、過去に販売した分は別として、少なくとも今後のFSDの利用者から、その機能について、宣伝されていた内容と異なるといった理由で訴訟を起こされる心配もなくなるだろう。
長年にわたり、消費者保護団体や政府から虚偽広告だと非難されてきましたAutopilotやFSDだが、いままでのところ規制当局はこれを強く取り締まろうとはしていない。
ただカリフォルニア州の判事は最近、テスラが「Autopilotの宣伝で虚偽の表現を用いた」として、同州におけるテスラの販売を30日間停止するよう勧告した。これに関しては、テスラには90日の猶予が与えられ、その間に州当局を満足させるよう、製品の広告宣伝資料に含まれる虚偽または誤解を招く表現を削除修正する対応を取れば、処罰は免れられる可能性がある。
同州当局は2022年にもFSDに関してレベル5の自動運転に対応しているかのように見せかけていると非難し、その後、テスラはFSDの名称に「Supervised(監視付き)」という言葉を追加表記するようになった。今回も同様の対応が撮られると考えられる。
