水陸両用ではありません
空陸両用電動バイク「Skyrider X1」発表。最適ルートを自動設定、自律飛行が可能とうたう

米ラスベガスで開催されている電子テクノロジー見本市CESで、中国のモビリティベンチャー企業Kuickwheelのサブブランドで、小型の電動バイクを製造販売しているRictorが「世界初の水陸両用空飛ぶ乗用バイク(Amphibious Passenger Flying Motorcycle)」を売り文句とする「Skyrider X1」を発表した。
文言を素直に受け取れば、Skyrider X1は陸上だけでなくボートのように水上を走ることもでき、さらにeVTOLとして空に舞い上がることもできるとんでもなく未来的なバイクということになる。
だが、プレスリリースを読んでいくと、そこには水上走行が可能だという表現は微塵も出てこない。どうやらSkyrider X1の宣伝文句を考えた同社担当者は、「Amphibious」が「両生類」、乗り物においては「水陸両用」という意味合いをもつ単語で、陸上と水の中(または水上)で活動するといった意味合いであることを知らなかったようだ。
つまり、簡潔に正しくこのバイクを説明するならばSkyrider X1は「空陸両用乗用バイク」、ということになる。また「世界初」という言葉についても、タイヤこそついていないものの空飛ぶバイクと自称したeVTOLはいくつもあり、話半分で聞いておくぐらいで良いだろう。

とはいえ、Skyrider X1は遅ればせながらやってきた個人用eVTOLとして、もしかするとかなり実用的な製品になるかもしれない雰囲気はある。これまで、空飛ぶクルマなどと呼ばれ、いくつものベンチャー企業が製品化を目指してはいまだ実用化にたどり着いていないeVTOLの多くは、「クルマ」とは名ばかりの、車輪がない自律飛行式複座型電動マルチコプターだった。
しかし、Rictorが発表したSkyrider X1は(英単語の選択ミスはいったん忘れるとして)、れっきとした電動三輪バイクとしての公道走行能力と、自律式eVTOLとしての飛行能力の両方を備える製品となっている。
飛行用としては、折りたたみ式の4本のアームで、合計8つのローターを回転させて揚力を確保するしくみになっている。 ライダー/パイロットは、目前に交通渋滞などを発見した場合、「目的地を設定してスタートボタンを押すだけ」で飛行モードに移行できるのだとか。
また、三重に冗長化された飛行制御システムを採用し、何らかの問題で飛行中にローターのひとつが停止した場合でも飛行を継続、自動離着陸機能で、安全に目的地に到着できるとプレスリリースでは説明されている。もちろん、万が一のための緊急用パラシュートも搭載されているとのことだ。
Skyrider X1のボディは飛行時のエネルギー効率を高めるため、カーボンコンポジット材と航空機グレードのアルミニウム素材を使用している。そして、これらの素材はただ軽いだけでなく、地上走行時の力学的ストレスにも耐える耐久性や強度を持っているという。
自動ルート設定機能に関しては、目的地の位置座標に基づいて最適な飛行経路を特定するのに役立つはずだ。また、「リアルタイムの天候認識と環境への適応性」により、高度、速度、飛行方向を自動的に最適化し、効率的な移動手段を実現すると説明されている。一方で操縦桿による手動操作オプションも用意されており、自ら操縦したい人には良いかもしれない。
最高飛行速度は100km/h、連続飛行時間は標準グレードのX1 SLで約25分間。上位モデルのX1 SXには、より大容量の21kWhバッテリーが搭載され、約40分間だとRictorは述べている。
RictorのSkyrider X1はコンセプトとしてはかなり良いように思えるが、あくまでコンセプトであることを忘れてはならない。これまでに小型電動バイクしか製品がない企業にとって、空飛ぶバイクの製品化はかなりハードルが高いと思える。実際、プレスリリースでは動作するプロトタイプなど具体的な研究開発に関する話は含まれておらず、航空機に必要な各種認証の取得計画なども全く情報がない。
来年のCESあたりで、具体的な開発状況に関する発表があることに期待したいものだ。
- Source: Rictor(PR Newswire)
- via: New Atlas
