大統領選挙でインターネットが遮断されることへの備えとして

Twitter創業者のインターネット不要メッセージアプリ、ウガンダで突如大人気に

Munenori Taniguchi

Image:Bitchat/App Store

東アフリカにあるウガンダ共和国で、Twitter共同創業者のジャック・ドーシー氏が発表したメッセージアプリ「Bitchat」が大人気となっている。BitchatはスマートフォンがWi-Fiや携帯電話網などでインターネットに接続していなくても、Bluetoothによる通信で近隣の同アプリユーザーとの間でメッセージのやり取りを可能とするアプリだ。

このアプリが、ここ数日だけでもウガンダ国民の約1%に相当するユーザーによってダウンロードされたとのことだ。

なぜこのような現象が起こっているのかといえば、それは同国の政治家で野党指導者で元ポップスターのボビ・ワインこと、ロバート・キャグラニ氏が、今月15日に予定されている同国の大統領選挙を前に、与党がインターネットの遮断を行う可能性があると述べ、支持者らにインターネットがなくても互いに意見交換ができるBitchatアプリを予めダウンロードしておくよう呼びかけているからだ。

ワイン氏は火曜日のXへの投稿で、当局がインターネットを遮断する理由として、市民が組織化したり、選挙結果を検証したり、選挙不正に対する責任追及をしたりすることを阻止するためだと主張している。ワイン氏は2021年の大統領選挙に出馬したが、1986年から長らくウガンダの政権を握ってきたヨウェリ・ムセベニ氏に敗れている。ムセベニ政権は2016年および2021年の大統領選挙のときも、ウガンダ全国民のインターネットとソーシャルメディアへのアクセスを遮断した。

ウガンダは先週、政府の覚書によりStarlinkの衛星インターネット機器の輸入について制限措置を開始したとReutersが報じている。Starlinkを始めとする衛星インターネットはインターネット接続インフラが満足に整備されていない地域に高速インターネットを提供するため、政府が従来のインターネットインフラを制限しても、代替の選択肢となりうる。

ワイン氏は、Bitchatアプリを使うことで、インターネットを遮断されても数千人とコミュニケーションを取り、選挙期間中に特定のユーザーに重要な情報を共有するのに役立つと述べている。

なお、ワイン氏は2021年の選挙はムセベニ大統領によって不正操作されたと主張しているが、ムセベニ大統領はこれを否定している。一方、ウガンダ政府は、選挙期間中の国家安全保障と治安維持のためにインターネットの規制が必要だと主張している(まだ遮断までは決定していない模様)。またウガンダ通信委員会(UCC)の事務局長であるテンボ・ニョンビ氏は、同委員会には通信・ネットワーク全般を扱える最高の技術チームを擁しているため、Bitchatを遮断する能力があると主張している。

ちなみに、突然Bitchatの人気が高まる現象は、昨年の9月にもアフリカの島国であるマダガスカルで発生している。このときは、頻繁に断水や停電を繰り返す脆弱な生活インフラの整備が進まないことに怒った若者たちによる政府へのデモの際に、停電時でも使える同アプリが人々に利用されたという。また同月にはインドネシアでも政府への抗議活動が激化した際にBitchatの普及が促進される現象がみられた。

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