事実ではないウソ回答
カナダの著名ミュージシャン、AI概要が誤って性犯罪者と紹介したせいでコンサート中止に

AIチャットボットは、その背後の生成AIが知らないことを質問すると、さも事実であるかのようなウソの回答でごまかす「知ったかぶり」をすることが多い。なかには、ある人物をインターネット上に記述のある同姓同名や似た名前の人物にこじつけてしまい、その人物が犯罪者呼ばわりされてしまった事例もある。
カナダのフィドル(ヴァイオリン)奏者で(実はThe White Stripesのジャック・ホワイトの “はとこ” にあたる人物でも)あるアシュレイ・マックアイザック氏は、AIが誤って彼を性犯罪者よばわりしたせいで、その仕事にまで悪影響が及んでしまった最新の被害者だ。
カナダ版グラミー賞とも言えるジュノー賞受賞歴もあるマックアイザック氏は、12月19日にコンサートを予定していた。だが、GoogleのAI概要機能が彼のことを性的暴行、インターネットでの勧誘、女性への暴行、未成年者への暴行未遂を含む一連の犯罪で有罪判決を受けたと酷く誤った内容で紹介したせいで、このコンサートは中止に追い込まれてしまったのだ。AI概要はさらに、マックアイザック氏が国際性犯罪者リストに名が記載されているとも主張した(これも事実ではない)。
1990年代にデビューして以来、カナダではそれなりに有名人として活動してきたマックアイザック氏だったが、この事態に「国境を越えようとしている時に誤情報のせいで逮捕されれば、いまごろは刑務所送りにされていた可能性もあった」「AI企業の責任は何なのか、そして何を防げるのか、きちんと解明する必要がある」とした。
ただ、大企業を相手にしかも解決に何年もかかるかもしれない訴訟に耐えるだけの資金はないため、まずはGoogleに修正を求める報告書を送ったとのことだ。
その後、マックアイザック氏はGoogleがAI概要の問題について認め、謝罪したことを明らかにした。また、中止になったコンサートについても誤解が解け、再スケジュールを検討中だとしている。ただしこちらはすぐに日程を決めるのではなく、広まってしまった誤情報が払拭され、事態が沈静化するのを待ちたいと語った。
ちなみに、マックアイザック氏はケルト音楽とロックを融合させた独特の音楽性を伴って1992年にデビュー、1995年発売の3rdアルバムは米国でもヒットしダブルプラチナムに輝いた。
- Source: The Globe and Mail
- via: CBC
